第7話 過去の兄妹はノーマル

5年前の記憶―――4月18日午後8時。

あの頃の俺は、11才の小学六年生で

今と違い物事を深く考えず

行動していた。


最愛の妹の唯悧は

9才そして今年で10才の

誕生日が間近になっていたのだが―――


「離婚!?・・・父さん、母さん・・・・・

なにをいっているんだ!!」


それは、突然のことのことだった。

たしかに最近はケンカが多かったけど

いきなりどうして理解できない。

イヤ、したくなかったんだ

―――考えたくない!


どうしてそうなったのか・・・・・

唯悧の誕生日をなにをプレゼントすれば

喜んでもらえるかを一喜一憂していたのに

夕食後に二人は離婚と

俺達兄妹に淡々とした言葉で伝えた。

そして父さんは

静かな声で落ち着いて答える。


「俺は・・・もうお母さんとは

生活するのが苦しくなったんだよ。

だから、解ってくれないか?」


お父さんは横目で母さんを汚い物のような

目で見ながら説明を言った。


「お母さんもお父さんの見ていて

吐き気がするから、別れるのよ。」


そんな視線を感じた母さんは、

目を細め俺達に事情を説明しながら

父さんに傷を抉るような発言をする。


「なんだと!お前のそんな陰口が

気にくわなかったんだよ。」


「陰口じゃないわよ。

本人の前に聞こえているじゃない。」


「お前のそんなところが前から――」


「やめてーー!!」


小学生四年生になったばかりの唯悧が

立ち上がると泣き叫びながら二人の間に

入り止めようとした。


「ママとパパのケンカなんて

見たくない・・・うぅ・・

だから・・・なかぁ・・よぐじてよ・・・

・・・うぅぅ、うわああぁぁん!!」


父さんと母さんは、そんな唯悧の懇願に

戸惑う。俺はそんな唯悧を見て

俺もイスから腰を上げハグをする。


「唯悧・・・安心しろ。俺がいるから。」


安心させたい、そんな一心だけで動いた。

こうしたら、苦慮から少しでも和らぐと

思って。


「・・・うん・・・・・うん。」


父さんも母さんも流石に娘の前で

喧嘩を中断した。二人は

しゃがみこみ唯悧と同じ視線になって謝る。

ようやく泣き止む唯悧は疲れたのか

すやすや・・・なんてソファーの上で

いびきをしながら、眠る。


そして唯悧が眠ったタイミングで二人は

大事な話があるから、椅子に座りない。

・・・っと、そう言われ座る。

父さんが離婚はすると強い意志で揺るぎない

ことを伝える次に・・・

そして、認めたくないことを言葉をする。


「・・・いま、なんて言って・・・・・」


惟信これのぶわるいが唯悧は

俺と一緒に生活する。そして惟信は――」


唯悧と別々で暮らすことを・・・父さんは

唯悧と、別の所に行くことを説明を始める。


「認めない・・・・」


「惟信?」


訝しむ父さんに俺は強く睨む。父さんに

ここまで、強い憎しみなんて今まで

なく・・・怖い、このコントロールが

うまくできない灼熱の怒りが

――沸々と溢れてきて、感情をぶつける。


「どうして、勝手にそんなことを決めるんだ!父さんと母さんの勝手に言い合いなんかして!唯悧が悲しそうだったのを見えなかったのか!?それに次は離ればなれになれと

言うのか!?」


ソファーに眠っている妹を見て

両親が離婚と決断する前の・・・

いつだったか忘れたけど、

ある日を思い出す――――

ケンカすれば唯悧が、俺に悲痛そうにして

にすがる。


ポジティブな言葉で励ますが内心、

俺も二人のケンカを見たくないと

弱音を吐きたかった。

だけど、唯悧のために

ケンカを止めてほしい・・・

伝えようと決める。俺は唯悧の兄だしな。

いつか、タイミングを見計らい言おうと

決心するがどのタイミングで言えばいいか分からずにいて結果的に

この時の怒りや悲しさに任せ感情のまま

この日になってようやく言葉にできた。

・・・最悪の形だけど。


「・・・わるい。勝手に決めてしまって、

しばらくしたら

また一緒に会うように

するから、納得してくれないか?」


「・・・そんなの・・・納得なんて・・・」


申し訳なさそうにされると俺はなんて

言えばいいのか、分からなくなり

本当に悪意がないのだと理解して

下を向くしかなかった。


「惟信ごめんね。色々と大変になると思うけどお母さんと一緒に頑張ろうね。」


お母さんは、離婚の件が進んでいたのが嬉しいのか声には嬉々としていた。2割は、罪悪感を思わせる声で俺は少し苛ついた。


「一緒にって・・・唯悧とは離れないと

いけないのか?」


「そうよ。でも、安心して!

また会えるように話をしていくから

今は一時的に悲しいだろうけど、慣れて

いくから。」


母さんはいつもこんな慣れろとか、なんとかなるとか楽観視する人なのである。本人は無意識だろうけど、いくら言っても耳に入らず

にいるので注意したが今は諦めた。多分、そんな部分が嫌で父さんは離婚という決断をしたのだろう。俺と唯悧にはとんでもなく迷惑だが。


「慣れるなんて・・・慣れるわけがない。」


そう呟くような音量で弱々しく否定をする。

そして、母さんや父さんは大事な話があると

父さんが唯悧をだっこして、俺と唯悧の兄妹の部屋まで運び二段ベッドの下の方に

下ろすと俺におやすみと言うと俺も

嫌々ながら、おやすみと返すと

父さんは部屋から出ていく。


「・・・唯悧・・・・・。」


最愛の妹の唯悧は、気持ち良さそうに

寝ていた。離婚が進めば

俺は唯悧とは

離れないといけないのだろうか。


前みたいに

元気づけることができなければ、

起こすことだって出来なくなれば

唯悧は本当に大丈夫

だろうかと顔見たら寂しさよりも心配で

仕方なかった。そして、その寂しさがいっぱい、いっぱいになると無償に頭を

なでたくなる。起こさないよう細心の注意でゆっくり優しく動かしていく。

おそらく最後になると思って、ゆっくりと

頭を左右に優しくなでる。


「すぅ・・・すぅ・・・」


(唯悧もしかしたら、会えなくなるかもしれない・・・それでも俺が大人になって力を手に入れたら今度こそ一緒に・・・)


・・・・・・・・・・暗闇になり

目覚める。フリーズしていた頭を

起動するのを感じながら

俺はベッドから上半身のみ上げる。


「・・・どうして、いまさらこんな夢を見たんだ俺は。なんの意味があるのか。」


そう独白して、覚醒する俺は小学生だった頃の夢を見ていたことになんの意味があるか

考えるが偶然だろうと納得した。

そして、今と違いあのときの小学生の俺は

妹好きシスコンでは無かった。普通に

兄として妹を心配するただの兄だった。


「過去を浸るのはこれぐらいにして、

そろそろ朝食にしないとなあ。」


そう今は違うのだ。俺はシスコンで

妹の強い想いを捨てた俺は今も妹と生活している。関係は少し芳しくないようで芳しいなんて、解らなくなることが多々

あるわけだけど

きっと唯悧とは楽しい兄妹としていけると

信じて。



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