第2話悴む手といつもの学校

かじかむ手をポケットに入れ

通学路を一人歩く。


なんだか態度が悪い歩き方だと我ながら

思いながら。


東京都内ではそこそこ評判の

棚倉ノ東京たなぐらのとうきょう高等学校の一年C組教室に入り定位置になる

窓際の席に腰を落とす。


「おはよう由布ゆふ

昨日のアニメ観た、観た。」


横から現れるは白髪をウェーブ

がかった

長い髪をなびかせ

まるで髪が意思を持つように動くと

校内では有名である。


そんな目立つ髮よりも

容姿が目立つ。


それは

同じ高校生なのに幼女ロリ

しか見えない点だ。

この友人は今さらだけど趣味は

今期や昔のアニメを多く鑑賞。


「ああ。観た、観た。

原作ラノベファンから言うと

好きなシーンが省いていたけど

面白かった!」


「ハァー、どうしてそんな

言葉なのかな?

普通に面白かったで言えばいいんじゃない。

ねぇ!」


このロリは、同じクラスメイトであり

ここに入学してから

アニメの話で意気投合して

アニメショップをよく二人でよく行く。


まっ、その容姿が原因で兄妹とか

間違われるが。


まっ、そんな疑われたことは置いといて

この友達の名前は高野大善たかのだいぜん

何度も言うけど小学四年生ではなく高校生。


「はい、はい、ごめん、ごめん。

それより実は主人公の相棒だけど

戦闘シーンでは、敵が薬を首に打て怪物に

凶変して、圧倒的な力に劣勢と

思いきや――」


「はーい、その話はラノベ読んでいる

人と話をしてねぇ。

ついてこれないから、わたしは。」


いつものやりとり。

学校ではよく高野と話を・・・

いや一方的に話し掛けられているか。


気付けば友達になってから

そろそろ一年が経つ今が三学期。

そして三ヶ月後に2年になる。


「それでね・・・えーと・・・」


両手を後ろに組み頬が赤くなる高野。

なぜか急に顔を見ては逸らしたり

繰り返している。


「だ、大丈夫か?」


「・・・だだだ、大丈夫!!」


しどろもどろになっていてそうは

見えない。


この反応されると周りから

告白するのとかなんて羨ましいとか

期待とか羨望と憎悪など聞こえて

困っている。


「・・・どうして、こんなことに

なった。」


俺はそう呟くと高野も周りの視線に

気付いたようだ。


「え、えーと・・・その

放課後で言うから!?」


それだけ言うと走って教室から出ていく。

そして予鈴が鳴り響き・・・

って、ここ高野の教室なんだから

戻ってこいよー!


「・・・仕方ない。

連れていくか。」


なぜか今みたいにこんな暴走を

するのだ。

本人は、人が犇々ひしひしとした

場所が苦手と言っていた。


それを聞いた当時の俺は

スゴく共感した。

人が多いの苦手これあたりまえ。

高野に追い付くとこう言われた。


「なんで追いかけてくるの!

バカなの!アホウドリなの!?」


「バカでもなければ

アホウドリでもない。

そんなことより、

チャイムが聞こえなかったか?」


俺は上をさして、ツッコミ処理をしながら

若干の遠回しな言葉を出る。

ちなみにこれは、初めてではなく

何度もしているやりとり。


もはや一種の儀式となっている。


「・・・・・」


しぶしぶながらも静かに首を縦に振る。

教室に戻ろうときびすを返す

その後ろをついて歩き高野。


席に座ると恐ろしいタイミングで

教諭が入る。

一時限目は国語がスタートしようとする。


授業中にノートを写したり教諭の

言葉も面白い所だけ書いていると

妹の唯悧の事を考え始める。


もう少しで妹が三年生になる。

つまり受験生でいままでのように

一緒に朝とか夜に食事とかも

ゲームとかもアニメも減っていくことに

なる・・・ツラい、辛すぎる!


その後、悲痛のあまりに授業に

まったく集中ができなかった。




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