第四.五幕 偵察(おまけ)

 店内へと入った二人。店主の女性に声をかけた。

「すいません。おにぎりを二つ」

「はい、二人分ね」


 少しの間待っていると、ホカホカに蒸気を立ち上らせたおにぎりが二つずつ。二人前で計四つのおにぎりが、彼女たちの前に出された。

「わぁ、綺麗……。白く輝いてるわ」

「うん、美しい。それに、この蒸気と共に漂う匂い……これが『おにぎり』なのね」

「なんだかんだ言って、アクアも興味津々じゃない」

「こ、これは、情報収集の一環なんだから」

「ふふっ、はいはい。さ、早速食べましょ?」


 不承不承のアクアと、その様子を見て嬉しそうなアイシア。この直後、二人に小さな事件が起こる。

「きゃっ?! なにこれ、くっついて、しかも固まっちゃった」

「えぇ? もう……私が取ってあげるわ……って、あ、私まで凍ってくっついちゃった!」

「この『おにぎり』。周りに塩がついてたのね」

「な、なんて恐ろしい物を出しているのかしら、このお店は。アイシア、これは要警戒物件としてマークするわよ」

「うん、これは危険で美味しい」

「ちょっとアイシア!」

「冗談だよぉ」


 アイシアが笑って誤魔化していると、ちょうどその時、店内に設置されていたテレビからニュースの音声が耳に入った。

「先週オープンしたばかりのショッピングモールに来ています。オープンして二度目の休日を迎えたわけなんですけれども、初めて迎えた休日の時よりももっと人が増えているような気がします。そんな盛況ぶりです」

 テレビの音声につられて画面を見ていた二人は、ゆっくりと目線を戻して、同じタイミングで目が合った。

 二人は顔と顔を見合わせるとニヤリと不敵にほほ笑んだ。

「人が多いって」

「うん、『最適』って演算結果が出てる」

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