~完~

 合流する。

「来年も、一緒に来るんだからね?約束だからね?」

 念を押すように二人に夜影ヨカゲは言う。

 去年だって、そうだった。

 まるで、怯えるように。

 夜影は、季節のうつろいを好んでも、人のうつろいを好みはしない。

 滅びの美しさを知っていても、大切なものの滅びを美しいとは言えても、見たくはないのだ。

「絶対、だから。」

「心配するな。新年早々、そういう杞憂きゆうを抱えるな。」

「うん。」

「それと、泣くな。」

 涙を才造サイゾウの指に拾われて、堪らなくなった。

 そして抱きつく。

「今日は、夜まで傍に居て。虎太コタも。」

 頷く虎太に小さく笑う。

 冷たい風が、居心地良いような気がした。

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三忍の年越し・正月 影宮 @yagami_kagemiya

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