Espionage4 解錠

 スルリと下りて歩哨の死角を突きつつエレベーター前まで到着。


「えーとスイッチは……あ? なんじゃこりゃ?」


 エレベーターの昇降スイッチが訳の分からんカバーで覆われている。どうせ迂闊に触ると面倒くさいやつだろう。


「オペレーター、コイツは何だ」

『生体認証式のカバーですね。登録していないと開きません』

「はぁ? 面倒くさすぎるだろ。どうすんだ」

『カードキーを敵兵から奪って下さい』

「……お前がどうにかできんのか?」

『もちろん出来ますよ、そんなの百均南京錠以下です』

「じゃあ最初からやれよ」

『もうやりました、手で触れれば開きます』


 私との会話は本当に暇つぶしか。まあいい。面倒くさいことは回避するに限る。


「まぁ、とりあえず地下いくか」


 大体こんな施設の上の部分は飾りに過ぎん。エレベーター移動が少し長いのが迷惑だ。


『うーん、施設の情報を色々解析したんですが……』

「お前、どっからそんなん仕入れてくるんだ」

『ホームページからフリーダウンロードですよ』

「ホームページねぇだろ……」

『ファイアウォールなんて紙ですので』

「やっぱ変態だわ」


 こいつ本当にどうかしてる。要らんとは言ったが役に立たない訳ではないのが腹の立つところだ。


『この施設かなりのデカブツを作ってるみたいです』

「お、デカブツいるのか」


 シケた任務と思っていたがデカブツがいるなら話は別だ。


『写真はこれくらいですかね』

「おお、十分十分! 殺し甲斐ありそうだな」


 写真にはかなりのデカブツが映っている。


「楽しみが出来た。今度一杯おごってやるよ」

『いえいえ、それよりどうやって「料理」するんです?』

「まぁ、見てのお楽しみってところだな」

『勿体つけますね』

「当然だろ」

『だって』

「こんなの」



『「どうやっても最高!!」』



 今日はオペレーターと気が合うみたいだ。


 エレベーターも最下層についたらしい。

















 ――さて情報収集っと。

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