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まずは、これ以上の被害を拡大させない事。それは何よりも優先すべき事である。
「右手には大いなる風よ。左手には獄炎の炎よ……」
ミラは声高らかに魔法を唱え始まる。
魔法による
「我は、天候を操る魔導士。
右手に纏っていた強力な風と左手に纏っていた炎の力を合わせる。
これの
風と炎が混ざり、
だが、その魔法をぶつけたところで竜は、全く動じなかった。
————なんで、これでもダメなの?
ミラは驚いていた。
だが、なぜか不敵な微笑が彼女の口元で彩る。
この地方の天候は次第に、周囲の気温を下げていく。
ミラの魔法は次の段階へと、ステップアップしていたのだ。
辺りが氷点下まで達し、更に気温はどんどんマイナスイオンを突破していく。冷気が、ミラを包む。
そして、周りの自然は凍結し始め、この世界は氷結の世界と片鱗する。
その変化に気づいた竜は、すぐに宙に舞い、ミラをじろっと見下ろした。
ようやく、ミラに対して興味を持ち始めたのだ。
気づくのにも遅すぎる。いや、さっきまで相手にしなかったのはそれだけ自分より弱者だと認識していたのだろう。ミラは一本杉の太い枝に立ちながらフッと、息を吐いた。
その黒い瞳には何が映っているのだろうか。黒い鱗に鋭い爪、巨大な牙はどんなものでも食いちぎるほどの風格を漂わせる。
サーシャが話してくれた炎帝竜と自分が思っていた炎帝竜を重なり合わせても全く別格である黒龍は悪魔以上である。
今までは縁の無かった
最近ではテロリストの魔導士などとの交戦や色々と追われていた毎日だったが、これほど緊張した瞬間はない。
あくまで、かなり頭のキレる
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