3

 奥へ奥へと進んでいくと、森の陰に隠れた小さな家がぽつんと建っていた。


 ここが目的地の家だ。


 サーシャ・ノグワールの家はこの家らしい。


 森に囲まれた家であり、赤いポストが家の前に建っていた木材で作られた家からは魔力が少し感じる。そして、誰もこの場所を訪れた形跡はないようだ。


 自然の森に炎の魔女のイメージが浮かばない。


 家と樹木の間には小さな黒猫が蝶々を追いかけながらこちらに走ってきた。

 ともかく、この場所がオリエンの地の魔女の森。


 竜二はゆっくりと歩き出し、扉の前で足を止める。ミラもまた竜二の隣で立ち、家のベルを鳴らした。


 すると、扉が開いた。


 さっきの黒猫が二人の間をすり抜けて家の中へ入っていく。その後を竜二たちはついて行った。廊下の奥から誰かの人影が見えた。


「そうか、やっと来たんだね。さあ、こっちに上がってきて、お茶でも出すからさ。奥の部屋へ来てもらえる?」


 と、そのまま黒猫を抱きかかえると少女は奥の部屋へと消えていった。そして、竜二たちも靴を脱いで彼女がいる部屋へと向かい扉を開ける。

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