リスト-4- ぼく<達・タチ・絶ち>

「う・・・ん、うわ!?」


 ボクは落ちる様は感覚で飛び起き、勢いあまって尻もちをついて、照らされる朝日で目がくらむみ目を覚ました


「ッ・・・、え」


 ボクはどうやら、あのままベランダで寝てしまっていたようだ。恐らく手すりにもたっれかかった状態で寝ていたのだろう


「あぶないなあ、もう・・・」


 バクバクする心臓をおさえていると、不意に部屋にノックの音がこだました


「おはようございます。朝食をお持ちしました」


 ボクは運ばれてきた朝食を食べたが、あの衝撃的な目覚めのせいかほとんど味覚は感じられず味気の無い物だった


「行ってきます」


「いってらっしゃいませ」


 ボクはホテルを出て街を散策してみる事にした。ショッピングモールの様な物から遊園地や水族館らしきものなど色々な物があった。メルくらいの歳の娘なら気に入るであろうものばかりだ


「昨日は気づかなかったけど、活気のある街だったんだな・・・」


 人混みの中をしばらく歩いていると、その先の海岸が目に入り、ボクはそこに向かうとする事にした


「あ」


 砂浜を歩いていると、海岸線の道を自転車に乗るメルの姿があった


「こんにちわ」


「こんにちわメル」


 ボク達は砂浜を一緒に話ながら歩いていた


「綺麗だね」


「え?…」


「この砂浜、真っ白でさ」


 ボクは砂を蹴り上げそう言った、するとメルは足を止めて少しうつむく


「でもこれ…、死骸なんだって」


「え」


「死骸が波にもまれて・・・、真っ白の砂浜になるって聞いたから」


「ああ、そうか」


 この白い砂浜も、元はサンゴ礁なんだな。今は無機物に見えるけど、昔は確かに海で生きていたんだ


「不思議だね…」


彼女は座り、砂を手ですくい取って静かに言った


「そうだね・・・」


 ボクはそう相槌を打ち、しばらく黙ってメルの手からゆっくりと落ちる砂を見ていると、ふと彼女が立ち上がって言った


「あ、雨・・・」


「雨?」


「もうすぐ降るの・・・」


「そう言えば天気予報なんて見てなかったな…」


「こっち」


「あ、待って」


 そう言うメルについて行くと、そこは昨日の公園だった


「また雨宿り?」


 そうボクが聞くとメルは首を振ってヒマワリに手をそえた


「えい」


 メルはヒマワリを二つ折って、片方をボクに差し出しこう言った


「これを傘代わりにしよう」


 確かに大きさも十分だったが、あまりに突飛な行動でつい聞き返してしまった


「感電しないよね?」


「ふふ、大丈夫だよ。送っていくね」


 ボクはなんと的外れな質問なのだろうかと思いながら、ヒマワリを傘代わりにし、雨の中を二人でホテルまで続く坂道を上る


「また明日」


「ああ、また明日!」


 ホテルにたどり着くとメルは笑顔で別れの挨拶をし立ち去った。ボクは彼女の姿が見えなくなるまで見送ってから、ホテルに帰った


「お帰りなさいませ」


「ただいま」


 挨拶をするとホテルマンが近づいて来て、封筒をを差し出してくる


「お客様の最後の忘れ物が届いております」


「最後の?」


「はい、配達が遅れ申し訳ありません。お部屋にお届けするより、お帰りになった際にお渡しした方が良いかと思いましてこちらで待っておりました」


「ありがとうございます」


「どうぞ、これが私共が預かる最後のアナタの忘れ物でございます」


 ボクは、ホテルマンから小さな忘れものを受け取り、中身を確認した

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