SUNSET BLOOMS

采岡志苑

プロローグ

#0 男と女

日が落ち始め、川の水面に反射し

辺り一面を茜色に輝かせる。

街と街を結ぶ川の上に架けられた大橋から

見る夕日はまさに絶景で

街の人気スポットになっている。

その大橋のすぐそばの時計台が

大きな鐘を鳴らす。

毎日、夕日が見られるこの時間になると

決まって鐘が鳴るのだ。

その時計台の下に二人の男女が立っていた。男は黒いハット帽を被り、

小綺麗な格好をしている。

さほど身長は高くないが、

体格がしっかりしているせいか

実際より大きく見える。

女は金髪をなびかせ、

白いワンピースを着ていて

上品な佇まいをしている。

「またあなたに会えて良かった、

また会えた時にこれを

あなたに渡したくて」

男はそう言うと小綺麗なジャケットの懐から

一つの箱を取り出した。

男はゆっくりと箱を開け、続けて言う。

「これからもあなたと一緒にいたい、

受け取ってくれますか?」

女は驚いた様子で少したじろぐ。

少しの沈黙が流れ、女は首元にかけた

薔薇をモチーフにしたネックレスを

握りしめ口を開いた。

「凄い...凄い嬉しいです、私の...

私の返事は-」

川から魚が跳ねて水しぶきが起きた。

茜色に染まった空も暗くなり始め、

夕日も沈んでいき、

辺りが暗闇に包まれていった。



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