古琉球から近世琉球という激動の時代を生きた王の物語

琉球史を知っている身としては薩摩侵攻により、捕虜になった悲劇の王「尚寧王」や薩摩藩に抵抗した三司官「謝名親方鄭迵」の話が著名ですが、こちらはなんと第2尚氏8代目の王、尚豊王の話です。
彼の童名は思五郎金(うみぐらーがに)と言い、恐らく父尚久を始めとする身内にはそう呼ばれていたと思います。ちなみに父尚久を題材にした小説は別作家ですが、なろうの方で掲載されております。
薩摩侵攻時はまだ19歳の若者であり、その時は前述する尚寧王や謝名親方と共に薩摩藩へ連行されております。その時、侵略者である島津忠恒や江戸で見た将軍徳川秀忠を見て彼はどう思ったのか?そして薩摩藩による涙の起請文を書かされた際、尚寧王や尚豊王は如何なる気持ちだったのか?と考えてしまいます。薩摩藩による琉球侵攻は豊臣秀吉による朝鮮出兵同様、日本史における「加害の歴史」として見なければいけません。

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