第14話 実践へ

 まず今回使用した素材、それはなんと竹である。

 そう竹が存在したのだこの世界。

 俺も組合に来るまで知らなかったのだが、エルフが竹林を栽培しているらしく比較的安価な価格で購入できたのだ。

 この世界では弓や槍の素材として使用しているらしく竹を購入するときに俺が防具素材として使用するつもりだと聞いて担当してくれた組合の人はとても驚いた様子だった。


 という訳で製造した鎧がこちらの竹製の板金鎧と兜である。

 板金鎧とは複数の金属製の板を紐で結び鎧を形成することにより一枚板の鎧よりも柔軟性と防御力を上げた鎧のことである。

 俺はそれを竹板を用いて制作したわけである。

 ご存じの通り竹は軽量で弓にも使用されるほど柔軟性に優れる素材である。今回の鎧作成にはぴったりの素材だろう。

 とはいえ、やっぱり強度としては金属に劣るので防御面では不安が残る。

 なのでこれから鎧の実践テストも兼ねて依頼を受けに行こうと思う。


◇◇◇◇◇


 現在俺は冒険者組合の依頼で前回と同じ森に来ていた。

 依頼内容はトレントの討伐である。

 どうも以前俺が討伐したトレントなのだが、あのときは偶々森林深部に生息するトレントが浅部に現れたと考えられていたが、実際は森林深部で何かあったらしく深部に生息しているはずの魔物たちが浅部に頻繁に出現しているらしい。

 そのため深部調査と並行して浅部に出現している魔物の討伐依頼が出されていた。

 俺としても実践テストを兼ねているの前回と同じ魔物であるトレントの依頼があったことは幸運だった。


 そしてトレントを見つけた。

 トレントも俺のことを認識しているらしく出合頭に枝の一振りをかましてきた。

 俺はそれを避けることなく一撃を受けた。

 枝は俺の胴体に当たった。

 しかし防具に亀裂がはしったものの吹っ飛ばされることもなく耐えることができた。

 また、防具のおかげか予想していたよりも胴体に衝撃は来なかった。

 とはいえ、一撃で亀裂がはしったのは防具としては欠陥もいいところなので強度面でもう少し工夫が必要だということが分かった。

 さて、防具の性能についてはこれでテストできたので今度は武器のテストに移ろうと思う。

 トレントは己の攻撃で倒れなかった俺のことを警戒しているようですこし様子を見ているようだった。

 まず俺は金砕棒を横なぎにフルスイングした。

 金砕棒はトレントの幹に当たりその部分を大きく削った。

 メイスに比べると威力は増しているようで、前回よりも確実に効いていた。

 その後は何回か幹に武器をぶつけてやることでトレントは気から尽きていった。


 

 こうして新しく制作した武器と防具の実践テストは終了したのだった。

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異世界でドワーフになりました。 俗悪 @okinagusa

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