第24話イッタしちゃった

 ぴちゃっ、くちゅっ・・。


「あっ、直樹くっ、んあぁっ、ああぁんっ!!!」


 ソフィアは大きく喘ぎ、全身をビクビクと震わせ、身悶えした。

 ソフィアは絶頂を迎えた。

 ソフィアは直樹の手を強く握り締めたまま、全身を痙攣させている。


「あっ、ああぁ~っ」


 ソフィアは声を漏らしながら涎を垂らす。

 直樹はソフィアの両手を握ったまま上体を起こし、ソフィアの顔に自分の顔を近付ける。


「ソフィアさん、イッたんですか?」


 ソフィアの口から顎に伝って滴る涎を直樹は舌を出して舐め取る。


「い、いった、って、なあに・・・?」


 ソフィアは恍惚とした表情で直樹に訊ねた。


「イッた、って言うのは、絶頂を迎えたという意味で、エクスタシーって事です」


 ソフィアの涎を舐め取った直樹はそのままキスをする。


「エクスタシー・・・そっか、私、イッタしちゃったよ・・・」


 ソフィアも答えながらキスをする。息は荒い。

 直樹はソフィアの桃色の唇に唇を重ねる。

 直樹はソフィアの透明な唾液を舐め取る。

 直樹はソフィアの白く華奢な身体を抱き締める。

 直樹はソフィアの金色の髪を撫でる。

 直樹はソフィアの青い目を見詰める。

 直樹はソフィアの声に聴き入る。

 直樹はソフィアの香りに聴き入る。

 直樹はソフィアの体温を感じる。

 直樹の青春は、虹色で、薔薇色で、黄金色だった。

 ソフィアと生きる時間。

 それよりも大切な事など直樹には無い。

 そしてそれは虚無や孤独、悲哀では無く、途方も無く大きな幸運だった。

 運命の女神には後ろ髪が無い、とは書籍などで好んで使用される例えだ。

 直樹の傍に現れたソフィアと言う女神。

 直樹はソフィアの唇も、唾液も、身体も、髪も、目も、声も、香りも、温もりも捕まえていた。

 触覚、味覚、視覚、聴覚、嗅覚、温覚、その全てを堪能する。

 一瞬たりとも離したく無く、一瞬たりとも見逃したくない。

 ソフィアは幸運の女神では無い。

 ソフィアと言う女神が現れた事が幸運なのだ。


「ソフィアさん、セックスしたい」


 直樹はソフィアの青い目を見詰めたまま心の言葉を声にした。


「セックスをしたいから、私とするの?それとも、私とセックスしたいの?」


 ソフィアは訊ねる。


「ソフィアさんとセックスがしたいです。他の人とはセックスしたく有りません!!」


 直樹は断言した。


「ありがとう。とっても嬉しい。私も直樹くんとセックスしたい。他の人とはセックスしたく無いの。直樹くんが良いの。直樹くんじゃないと嫌なの」








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