魔法学園入学試験⑧

あれは闇属性の魔法か?。エイクは使えないはず。そんな事がありえるのか?


ロック副団長が負けるところを誰一人として聞いたこともないし、見たことがない観客は大いに盛り上がっていたが、それとは別にネスは疑問を浮かべていた。


「ねえ、ネス。ロック姉さんが消えちゃったんだけど何が起きたの!?」


「落ち着けケプリ、ここはコロシアム。死んでも生き返るはずだ」


「そ、そうよね…」


そしてケプリは一呼吸して平静を取り戻した。


「落ち着いたか?」


「えぇ」


「ケプリ、一つ聞いていいか?いや、シュウ兄もキー姉も聞いてくれ。」


「なに、ネス?今いい所なのだけれど。」


シュウ兄とキー姉が残念そうに、こっちをで向いた。


「使える魔法の属性が増えるという事はある?」


「 「 「そんなことはない。」 」 」


三人とも即答だった。だったらエイクは雷、火、水の三つしか使えないはず。


「どうしたの、ネス?そんなに深刻そうな顔して。さっき聞いてきた事と何か関係があるの?」


「三歳の時、エイクのステータスを見た時にエイクが使える属性は雷、火、水だったんだ。」


「ネス、じゃあ何故、今闇属性の魔法が使えたの?」


「それが分からないから聞いてるんだ。」


エイク、お前には今、何が起こってるんだ?


「ちょっと下に行ってくる」

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『龍砲カースブレス』


右の掌に純粋な魔力を込め、それを相手に向けて放つ。やっていること自体は基本の魔法と変わらないがこの魔法は質が違う。基本属性である水、土、風、雷、光、闇の七属性とは別に俺の魔力をこの魔法に込める。


抹消の魔力を込めて掌から放たれた黒色の光帯は彼女の全身を抉りとった。


「ふぅ。こんな程度かね」


そう言って右腕を下ろし龍装を解きはじめる。黒い鱗が落ちていくが、しかし全ての鱗は落ちず、完全に解きはしなかった。


「おいおい手荒いなぁ、ここは仮想現実。殺しありの試験じゃあなかったのか?」


瞬間移動でエイク(エリュシオン)の前に現れたネスが躊躇なく肩に目掛けて蹴りを入れたが、それを感じ取ったエイク(エリュシオン)が防いだのだ。


「お前がエイクではない何者かで正体が分からないからな。少なくともその瞳からは敵意しか感じないぞ」


と言ってお互い距離をとる。そしてお互いが最大火力、必殺の形に持ち込める状態になった時


「そこまでだ!戦闘をやめよ。それ以上は試験の失格とみなすぞ!」


学園長が席を立ちこちらに向かって戦闘の中止を投げかけた。


「おっと、せっかく主の願いを叶えてあげたのに、失格にされちゃたまらないねぇ」


そう言ってエイク(エリュシオン)は龍装を完全に解き、こちらは何もしないといわんばかりにぷらーんと両腕をあげた。


「この後のフェンディ=ネスと魔法師団団長のアテン=ステイシアの戦いは中止とする。以上をもって入学試験は終了だ!」


「ええ〜これで終わりかよ〜」「ていうかロック副団長がやられたの初めて見たわ」「でもあの平民なんか怖かった…」


ロック副団長がやられただけでも前代未聞だが、その後ネスが乱入し、また先程のような試合を観られるかと観客は大盛り上がりをしていたが、それを遮るように学園長がこの試験を切り上げた。


先程の底がない魔力と殺気を放つエイクが学園長の方を向き笑みを浮かべたかと思うと殺気は無くなり全ての力を使い切ったかのように倒れた。


そしてエイクは後から来た救護班に連れて行かれた。


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