魔法学園入学試験⑦
さて、表に出るのは何百年振りかな?
やっぱり外の空気はとてもうまい。
さて主は…寝ているな。主が起きる前に望み通り目の前にいるこいつを殺さないといけないが、全盛期と比べたらやはり格段に力が落ちてる。きっと「あいつ」の仕業だな。
「エイクくん?あなた私を殺すと言いましたね?先程は偶然魔法を使えたようでしたが今この状況を理解出来てないんですか?」
確かに先程までは魔法も使えない状態だったが…
「偶然ねぇ…なら早く俺にトドメをさせよ」
俺は両手を広げながら1歩ずつ1歩ずつ近づいていく。
「ぐっ…!」
私が追い詰めてる…はずなのに…私が張った結界はミスがなかったのに彼は魔法を使えた。
恐らく気の所為だ。私にミスはない。私のスキルは…
「無敵なんです!!!」
『フレイム・ブレス!』『フレイム・ブレス!』『フレイム・ブレス!』『フレイム・ブレス!』
さっき放ったのとは比較にならないほどの大量の火の玉が目の前にいる標的に向かって放たれる。
「ハハッ…俺をナメすぎだろ」
さっきまで幼子だった彼は嘲笑を浮かべたがすぐに彼は期待を裏切られたような顔をした。
「数が少なすぎるんだよ」
『龍装エリュシオン』
そういうと先程とは幼い子供の雰囲気は消え、ドス黒い雰囲気を纏い黒い鱗を彼の腕の肌を支配した。
そして近づいてきた虫を払うがごとく腕を軽く振り近づいてきた火の玉を全て消し飛ばした。
「なっ…嘘でしょ…」
「ん?信じられないような顔を浮かべてるが…まさかこれで終わりか?」
絶句をしたのはロックだけではなく観客もであった。傍から見てもわかるほどの大量の火。不死鳥を従え圧倒的な火力と不死性で不死火の副団長として名を売り周辺諸国から恐れられた彼女は誰もが疑うことの無いこの国最強の一角として数えられていた。
だがその最強の一角である彼女の全力であろう攻撃を成人もしてない幼子が一振でかき消したのだ。
「その顔だよ。絶望しきったそほ青ざめた顔ぶれ。最高に愉悦だ…!」
『ブラック・アウト』
満面の笑みを浮かべた後先程とは別次元の速さで彼は腕にドス黒い瘴気を纏い彼女腕を根元からもいだ。それに気付いたものは金髪の少年を除いて誰もいなかった。そして彼らが気付いたのはその数瞬後。
ほう、俺の動きを追える者がこの場にいるとはな。主の記憶から見るに主の幼馴染みというやつだな。へぇなかなか面白い色をしてるじゃないか。
「エイクくん余所見は厳禁ですよ!」
「あぁ?」
腕をもがれた事に気付いてない彼女を見て彼は彼女を見ながら自分の左腕を指さした。
その動作を見た彼女はそこで自分の腕が無いことに気付いた。
「私の腕が…いつの間に…」
「気付くのがおせぇよ」
「だがこの程度フェニックスの能力で…再生しない…!?」
「なんだあいつ…」「ロック副団長の腕が戻らないぞ…」「何をしたんだ?」「今何がおこってるんだ!?」
観客も今気付いたのか理解が出来てないが何かを理解しようとして静まり返ったざわめきが少しずつ少しずつと戻っていった。
「俺の属性は『抹消』。能力は文字通り全てを消す」
「なら何故私の腕は不死鳥の能力で再生しないのですか」
「その質問に答える必要はあるか?」
試合が始まった時にこれは試験。あくまでも彼らの力を図るためにと緊張感が欠けていた。ここで死んでも別に生き返る。だから何かの間違えで自分が死んだとしてもなんとでもなると。だが今は彼女がこの場で生き残るために彼を動作を所作を全ての動きを見続け瞬きすら出来ないほどの緊張感で満たされていた。そして彼が言葉を発した後脳で考え言語化することによる理解ではなく本能で理解した。
(あぁ、死んだな)。
『龍砲カース・ブレス』
そして彼女は崖から海に落とされもう二度と陸に上がることがないように、生まれて初めてもう後がないことを理解する前に死の味を全身で実感した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます