豚モモうす切のミルフィーユチーズカツ

 タイムサービスで買ってしまったアメリカ産豚モモ薄切り。一〇〇グラムあたり八九円とまさに破格の値段だったために思わず手を伸ばしてしまったが、どうやって調理しようか。

 広げて断面を見るとこれはかなりロースに近い部分のモモ肉のようだ。

 概してモモはロースと似たような使い方ができるが、ほとんどの場合ロースの方が脂が多くジューシーな仕上がりになって美味しいんだが、このモモはほとんどロースと同じと考えてよさそうだ。

 ロースなら使い方は豊富だ。炒め物、しゃぶしゃぶ、生姜焼き、トンカツとまさにオールマイティプレイヤー。しかし、この後ろが透けるほどでもない微妙な薄さではしゃぶしゃぶって感じでもないし、生姜焼きにはちょっとボリューム不足、トンカツとしては論外だ。そもそも本当はモモ肉だしな。

「うーん、どうしたもんかな…………あ、いや、トンカツか。そうだ、それでいこう」

 俺はさっそく調理を始めることにした。



 豚肉を広げて置き、その上にスライスチーズを半分にしたものを置いて、また豚肉を広げて置く。スライスチーズのもう半分を置いて、豚肉を広げて置く。

「これでよし」

 材料的にはもう一つくらいできそうなので、同じ要領でちょちょいのちょいともう一つ作る。

 次は衣だ。小麦粉、溶き卵、パン粉の順に、先ほどの五層構造が崩れないようにしっかり押さえることを意識して衣をつける。

 よし、あとは中温の油できつね色になるまで揚げるだけだ。

 深めのフライパンを用意し、油を注いで中火にかける。



 待つこと約三分。油の表面が騒がしくなってきたように見える。

「うーん、そろそろか?」

 パン粉をちょっとつまんで油に落としてみる。

 シュワシュワッと音を立て、外側に向かって全体にパン粉が広がった。

 よし、いい感じだ。

 五層構造が崩れないように、そして油はねしないように慎重に油の中へカツを投入する。

 シュワシュワシュワシュワ。パチッ。

 あぁ、いい音だ。揚げ物なんて一人暮らしするようになってから初めてだ。火事出さないように気をつけないとな。


数分後、両面こんがりと色がついたところで油から上げる。

「んー、いい感じだ」

 レモンを絞って完成! あとは食うだけだ。



 アツアツのカツを口に運ぶ。

 サクッ。

 あぁ〜! 揚げ物の音〜!

 冗談はおいといて、やはり揚げたてはうまい。衣のサックサク感は何物にも代えがたい至高の食感だ。中からトロッと出てくるチーズもまたいい。モモの脂の少なさをチーズと揚げ油が見事に補っている。

 今回はレモンをさっぱり要員として使ったが、シソなんかを一緒に挟んで揚げるようにしてもいいかもしれないな。



〜今回使った材料〜

・US産豚モモ薄切り5枚(一つあたり)

・スライスチーズ1枚(一つあたり)

・レモン少々

・衣

 小麦粉……適量

 卵…………1個

 パン粉……適量

・油……フライパンの底から1センチ程度の深さになるくらい


〜洗い物〜

フライパン、菜箸、ボウル×2、バット、箸、皿


※火事には気をつけましょう

油を火にかけている間は絶対にその場から離れず、火や油の様子に気を配りましょう

油がはねても落ち着きましょう

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土橋桂介のレシピ 小山空 @yukiakane

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