第19回 土木愛好家の曹叡

 漢文大系本、第3巻、71ページ。

 西暦235年。


 ◯魏主、性好土功。先是既治許昌宮、後又作洛陽宮。徙長安鐘𥲤・橐駝・銅人・承露盤於洛陽。盤折、声聞数十里。銅人重不可致。乃大発銅、鋳銅人二、列坐於司馬門外、号曰翁仲。起土山於芳林園、植雑木善草、捕禽獣致其中。諫者皆不納。


 ◯魏主、性、土功を好む。これより先、既に許昌宮を治め、後、た洛陽宮を作る。長安のしよう𥲤きよたく・銅人・承露盤をらくやううつさんとす。盤折れ、声、数十里に聞こゆ。銅人、重くして致すべからず。すなはち大いに銅を発し、銅人二を鋳て、司馬門の外に列坐し、号して翁仲とふ。土山を芳林園に起こし、ざふもく善草を植え、禽獣を捕らへて其の中に致す。いさむる者、皆なれず。


 ◯魏主(曹叡)は土木事業を好むたちだった。以前にも許昌宮を建設しており、その後また洛陽宮を建設した。長安のしよう𥲤きよ𥲤きよは鐘を架ける枠)・たく(ラクダ)・銅人・承露盤といった文化財の数々を洛陽に移そうとした。そのときに承露盤は折れてしまい、その音が数十里の遠くまで聞こえたという(1里は約500m)。銅人は重すぎて持ってこられなかった。そこでたくさんの銅を掘らせ、銅でできた人の像を二体鋳て、司馬門の外に並べ、「翁仲」と号した(「翁仲」は秦の始皇帝が天下を統一したときに現れた巨人をかたどって作った像であること、『なん』の高誘の注に見える)。土の山を芳林園の中に築き、様々な木や素晴らしい草を植え、鳥や獣を捕らえてその中に放した。いさめる者があっても、聞き入れなかった。

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