離人的な自己の客観視

 何らかの理由(ショック、疲労など)で自分の意識が乖離してしまっているような状態を描写する技法


1. 「私が○○を認識する」と書く代わりに「○○が私を認識する」と書く。鏡の中の自分に対して用いるのがもっとも自然。(p103)「徹夜明けの朦朧とした意識で洗面台の鏡をのぞき込むと、ボサボサ髪の、目の下に隈を作った、疲れた男がこっちをボンヤリと見ていた」


2. 体の一部が本人の意思に関係なく主体的な行為を行う、体の他の部分と対立する、など。(p251)「もう二日もなにも食っていない。商店街を歩いていて旨そうな匂いが漂ってくると、足が勝手にそっちの方向に歩き出してしまう」


3. 一人称視点の文脈で、あえて三人称の視点を用いる。(p372)「驚きのあまり、僕の顔はあんぐりと口を開け、目を見開いたままで完全に思考停止してしまった」

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