思考・感覚の過程


 思考や感覚の過程に注目させたい場合に用いる技法。


1. 現在の考えに至る過程を前の考えを訂正しながら述べる。(p427)「茂みの中からオレは狙撃の機会をうかがった。兵士が八人、いや十人、スコープの狭い視野の中を隊列を組んで歩いている。その後ろに標的ターゲットがいる―――いや、いない。リークされた情報が間違っていたというのか? それとも……?」


2. 思考の流れの描写にリアリティを与えるために中断したり、別の思考を挿入したりする。(p130)「背後でふいに物音がした。それは素早くオレの左に回り込……気配が消えた。体勢を立て直し、岩陰に飛び込む。岩を背に、あたりをうかが、その瞬間、首筋に走った激痛が体の自由を奪い取った」


3. 客観的には誤りでも、感覚に忠実に記述する。(p104)「暗い森の木立が、ゆっくりと回転した。カラスが間延びした鳴き声を上げて飛び去る。黒い人影がこちらをのぞき込んだかと思うと、オレの体はそいつの足下に崩れ落ちた」

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