番外短編 ピジョン・クエスト6


「なあ、どうも俺が留守にしてる間に、俺の特殊警棒に触った奴がいるみたいなんだが」


 特務班の狭い部屋に戻ったカロン――朧川刑事は、室内を見回すと私の顔の前で視線を止めた。


「大事な商売道具を放りだしてどっかに行くからじゃない?」


「俺は俺で色々とやることがあるんだよ。……まあ、どうせ持ちだしたところで俺の武器を使える奴はこの部屋にはいないけどな」


「そうね。あなた以外はみんな、ちゃんと「生きてる」ものね」


「へっ、どうせそのうちお前さんも半分亡者みたいになるぜ。ここにいたらな」


「いいわね。私の『生き霊』があなたの机に座って何か言いたそうにしてたら、あなたはちゃんとメッセージを読み取ってくれる?」


「あの世から鳩語がわかる奴を連れて来てやるよ」


「その方がいいとと思うわ。私の本音を直接聞いたらあなた、卒倒しちゃうかもしれないから」


「あいにく鳩の愚痴を聞く耳は持ちあわせてねえんだ。恨み節なら来世にしてくれ」


「そうね、これからは私が先頭に立って捜査するわ。あなたは亡者とでも遊んでて」


「……おい、そいつは俺の携帯だぞ」


「しばらく預かっとくわ。私の方が色々と依頼が来そうだから」


 私は伸ばされた手を軽く払いのけると、先輩刑事の携帯を持ったまま部屋の外に出た。


                 (了)

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冥葬刑事カロン 五速 梁 @run_doc

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