4.紡ぐなら置いて行かなきゃ... 

 ノックバックの長髪ながかみがその風に素直に従う


 静かに歩きだす。


 足の向く先に2本の長い杭が立っていて

 向かって左の杭の先端にはランプが吊り下げられていた。



 ランプに視線しせんは語りかける。

 

 






「 カケル 少し疲れたの

  ずっとずっと先

  その先端せんたん

  9(ナイン)のボルトが欠けてたし

  ウッドスペースのつるが足りないの」



「 」



 返事をまぶたけながら


 音色は続ける




 「氷のように冷たく吹雪がやって来て心の奥底が凍ってしまうかと思った。


  でもね カケル 見えてたよ


  ともしびは上からも見えていた。

  悲しいやみとらわれずに済んだのよ有難う」



 カケルと呼ばれたランプは

 チリチリリ と勢いを増した。


 「ただいま」




 入り口に足を踏み入れると一陣いちじん突風とっぷうが起こった。



 -メアリージューン-

 -時として つむ欠片かけら

  歌が  聞こえる・・




 -メアリージューン-

 時として  いだ


  想い

 




 貴方から私


 私から重ねる

 この想い


 届け

 メアリージューン


 


ハンモックは静かに揺れている。






 本棚が

 

 壁も 天井も無い

 月明かり





 音色の身体はシルエット

 へと変わる


 肩膝かたひざをつくシルエット

 両手を胸で組むシルエット



 今日の1日をささやいて

 願いヲ口に宿し




 「one 鉄塔てっとうがいつか届きますように…

  two 想いが雲にかげりませんように

  three 貴方が私を諦めませんように」



 そして 夜を終えた。

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排 気 都 檸檬ノ欠片 @ty197828

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