第8話 種明し

「“叔父”…さん…?」

私は、コディーが告げた台詞ことばに対し、驚きを隠せなかった。

すると、動揺している私を見かねたコディーが、満面の笑みを浮かべながら口を開く。

「あれ、言わなかったっけ?君の前の所持者…サント・バーチは、僕ら三兄弟の叔父だったんだよ」

「なっ…!?」

初めて知らされた真実ことに対し、私は動揺を隠せなかった。

私が立ち尽くしている間に、イマドとコディーはその場から飛び降り、地面へと降り立つ。

「…ただ、どうしてバーゼル兄さんの身体の中にサント叔父さんがいるのか……教えてくれないかな?」

「…まぁ、“方法”はある程度予測できる。……だが、どのタイミングで成り代わったか…説明してもらおうか…!」

コディーとイマドがそれぞれ言葉を述べているが、その表情には殺気が宿っていた。

「方法……ね。流石は、イマド。わたしが換魂かんごんの呪で、バーゼルと入れ替わっていた事は、察していたという事かな」

「“換魂かんごんの呪”…?」

バーゼルの姿をしたサントが語る中、私の呟きに彼が気付く。

換魂かんごんの呪は、文字通り魂と魂を交換するという意味だよ、メル。わたしは、2年前…君らオレイレカン兄弟に殺されかけた際に、本物のバーゼルと入れ替わったんだ」

「え……」

新たな事実に対し、私は驚く。

 彼らが、サントを…殺そうとした…?

更に衝撃の事実が明かされた事により、私の頭の中が真っ白となる。

その表情を見たバーゼルは、不気味な笑みを浮かべていた。

「あぁ。無論、本人からの了承は得ているよ。むしろ、バーゼル自身が希望したんだ。“永遠の生”という呪縛から、放たれたかったそうだよ」

「成程な…。しかし、“バーゼルからの了承を得た”という証拠はあるのか?」

サントの説明に対し、イマドが問いかける。

「…さぁ?術が成功して、わたしがこの場所にいられる事が証拠だと思うがね…。ひとまず、わたしの事は置いといて…」

「きゃぁっ!!」

バーゼルの姿をしたサントは、口を動かしながら一瞬にして私を腕の中に手繰り寄せる。

その手は相変わらず冷たいが、今の私はそれどころではなかった。

「メル・アイヴィー。この娘は、返してもらうぞ」

「あ…!!」

コディーが彼に近づこうとしたが、イマドがそれを制止する。

「イマド兄さん!!?」

「…この場では、我々の方が不利だ。故に、今は手を出すな」

そう言い合っている間にサントは私を抱きかかえ、手すりのある場所へと飛び上がっていた。

「この娘は、アカシックレコードへたどり着くための鍵…。故に、戴いていくぞ!!」

そう告げた彼は、私を連れてその場から姿を消すのであった。

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