第7話 告げる真実と告げられる真実

「…その台詞ことばに、根拠はあるのか?」

二人の間で沈黙が続いた後、最初にそれを破ったのがバーゼルだった。

それに対して私は、首を縦に頷いてから口を開く。

「初めて吸血された時は、違和感を覚えただけだったけど…。先日、書斎で本を探していた際、何故か貴方が“何か”とブレて見えたの。最初は目の錯覚かと思ったけど……吸血された時に垣間見る”失われた記憶“の断片の内容から考えるに、貴方は…”彼“の…!」

その先を告げようとした瞬間、自身が息切れをしている事に気が付く。

元々普段から多く話す性分ではないため、一気に言葉を告げた事で酸欠になったのだろう。

「…成程な」

「…バーゼル?」

少し間を開けた後、バーゼルが不意に哂う。

しかし声が小さかったため、私は彼が何と呟いたのかを聞き取る事が出来なかった。

「“鍵の覚醒”に“血”が関連してくる事は、知っていたが…。まさか、あんたの血にそんな能力ちからがあったとはな…!」

そう告げたバーゼルは、高らかに笑う。

私は、全身の神経を彼に集中させながら、緊張した面持ちでその場の成り行きを見守る。

「ククク……よく解ったね、メル」

「…っ…!!」

彼が不気味な笑みを浮かべながら告げた台詞ことばにより、私が告げた事が真実であると悟る。

 間違いであってほしかった…でも…!!

私は全身が恐怖で震える一方、“真実を見定めなければ”という強い意思も持っていた。

「さて、せっかくおあつらえ向きな場所にいるんだ。種明かしをする前に、奴らにも聞かせてあげようかな」

そう述べながら、バーゼルは視線を上にあげる。

すると、頭上の手すりのある場所から黒い光が立ち込める。

「やはり、気が付いていたか」

「2年ぶりかな?サント“叔父さん”!」

すると、光の中から現れたのは、長男のイマドと末っ子のコディーだったのである。

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