AOM――アポクリファ・オブ・マーズ――

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第1話 イントロダクション

 数千年以上も、昔の事になってしまった。

何もかもが突然だった。

母星・地球との定期通信がいきなり遮断され、驚く間もなく衛星・月との交信も遮断された。急ぎ対応が協議され、宇宙船で地球や月の様子を見に行った調査員達は、絶望的な結果を目の当たりにして戻ってくる。

地球の大気圏の外部に謎の『障壁』が展開されて地球へのほぼ全ての物質の通過を阻み、月の方は接近しようとしたら対隕石防衛機構『セレナ』が攻撃してきたのだ。

調査員達はこの『壁』を『ガイアの嘆きの壁』と名づけ、月の方は『セレナ』をも統括する人工知能型統治システム『ツクヨミ』が暴走したのだと結論づけて帰還した。ほぼ月と同様の人工知能型統治システム『ウルスラグナ』を使用していた火星政府は『ウルスラグナ』の使用を危険と判断し、これを封印、代替人工知能型統治システムの構築まで、数百年ぶりの人間による政治と統治が復活した。

 だが結局、人間による統治はそれから数千年の間、一度も途絶えず継続する。

代替人工知能型統治システムの構築に失敗したのではない。

統治システムでは対応不能のある災害が、孤立したこの星――『火星ブリンガー・オブ・ウォー』のコロニーや人間居住地を不定期に襲い続けたからである。

人類史上最悪と呼ばれたこの災害を、人々はこう呼んだ。

孤独の星厄ワンダリング・プラネットイルネス』――略称『禍界化WPI

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