矢久勝基様の『破戒の海』その3

 今回も矢久勝基様の『破戒の海』感想を応援コメントにて上げさせていただけました。

 今回の感想は本当に主観が多く、感情のままに文章にしました。ですが、それだけ熱くなれる作品でありますので、ぜひぜひ、皆様もこの矢久勝基様の『破戒の海』を追ってくださいませ。




 転ぺんです。

 3章も読みましたので感想を上げていきたいと思います。


 正直に言いますと、私は1章の感想でも言っていたのですが、矢久勝基様の『破戒の海』の文体を読み慣れていませんでした。それは普段からキャラクターが全面に出てくる、所謂キャラ小説を好んでいたことに起因します。


 ですが、この『破戒の海』の設定の密度、次々と変わる起伏の激しい場面が脳にガツンと残るインパクトを叩きつけながらもキャラクターの――コトヨイとクルップ、それだけではなく新たに出てくる者や少しの場面での会話を繰り広げるキャラクター、それらの人々の描写が心に焼き付いて離れないのです。

 同じ書き手として出る感想がまず『ズルい』なのです。

 これだけ大きく、インパクトもあり、スケールの大きい話を展開させながら、キャラクターまでもその世界に引っ張られ大きくなるが如く、成長を見せたり、新たな一面を見ることが出来たり、まるで、この世界のためにキャラクターが存在しているを体現している。これをズルいと言わず、一体私は何に嫉妬したらいいのでしょうか?

 私事ではありますが、とにかく私はスケールと釣り合わないキャラクターの設定を量産してしまう悪癖があり、身の丈にあった文明を創ることがとても苦手なのです。

 ですが、矢久勝基様は惚れ惚れするほどにそのスケール感とキャラクターを上手く繋ぎ合わせ、世界そのものに動きがあるとキャラクターが命を吹き込まれたかのように動き出し、逆もまたしかりで、キャラクターが世界に影響を及ぼす刹那を覗くことが出来ます。


 2章での感想にて人を選ぶ文章だと矢久勝基様はおっしゃいましたが、10人が好きと言って1人が嫌いだというのと、100人が好きだと言って90人が嫌いだというのは訳が違うのです。

 もちろん好みはあります。しかし、読者様の読み方に対し、書き手が最も危惧しなければならないのは挑戦しないことです。好き嫌いならいいです。何故なら嫌いなら嫌いで好きな人のために文章を書くことが出来ますが、好きか嫌いかもわからないけれど、読み慣れていない文体だから読まなくて良いやだと対応の仕様がありません。

 先に述べたように、私はこの文章に読み慣れていませんでした。先入観から避けていたとも捉えることが出来ます。そんな私が挑戦してみてこれほど素晴らしい作品に出会えたと声を上げたのです。

 私はこの『破戒の海』の読者として感想を上げました。それだけで矢久勝基様は、仮に好き嫌いがわかれるという体で言えば10人が好きだと言ってもしかしたら100人、1000人に続く過程の1人が好みではないというかもしれないというものだと私自身の経験を以って断言できるのです。


 と、前置きと呼んでいいかもわかりませんが、随分と長くなってしまいましたが、この矢久勝基様の『破戒の海』内容の方の感想に移らせてもらいます。


 まず、1つだけ言わせてください。ここまで言葉を出来るだけ丁寧にしてきましたが、この1つだけは言葉が汚くなってしまうことをお許しください。

 では――。

「何が魔女の希望じゃぁ! ズルいぞ! あんな可愛い19歳を捕まえて光になってくれなきゃ目の前で燃えるなんて手段を使って! あんなの、ここまで魔女以外の道を進もうとしていた少女に酷すぎるじゃないか! 弓槻を見習え! しがみ付いてでも生きることに重きを置いていた弓槻の前で同じことしてみろよぉ! 弱かっただけだって言われるんだぞ! 魔女には魔女の苦悩がある? 知るか! その苦しみを自分なりの道を見つけようとしていたコトヨイがいるんだぞ! あんなのあんまりだよ……」


 と、感傷的になってしまいましたが、あのシーンのコトヨイを想うだけで心がはち切れそうになります。

 もちろん、向かうべき運命に向かっているのは物語という形式上、それが定めであります。他に道はなかったのか、ああいう道に進んでくれれば。読者として、これほど展開に想いを馳せることが出来るのは素晴らしい才能だと思います。


 少しシリアスな内容についての感想でしたが、もちろんそれだけではありません。

 伝令……私は彼が出てくる度に「おっ」と声を上げました。差し詰め船長になりきりながら、彼の登場を待っていました。

 ですが、そんな伝令がコトヨイに掛けた言葉、船長に進言した意思、それがもう本当、彼凄い好きです。


 では、長くなってしまいましたが、以上を感想とさせていただきます。


 そして、ここに書いて良いか迷いましたが、2章の返信にて矢久勝基様は4章、5章を読みたいと思ったのなら連絡を。とのことだったので、こちらにその旨を上げさせていただきます。

 だって、あんなに続きが気になる終わり方ですもの、当然のように4章、5章が読みたいです。


 さて、それではここで終わらせていただきます。

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