第11話 奴隷になった俺はとりあえずするべきことをしようと思う

 あれから1ヶ月、高坂 連は奴隷になりました

 後悔はありません、せっかく初めて会った胸が全く成長していない可愛いエルフの女の子に迫られたんですよ? 嬉しくてついつい二つ返事で了承してしまいました

 そのせいで現在、やらなくてはいけないことが多く忙しいのも事実

 エルフ族の住んでいた村には人間族によって火がはなたれこれ以上住むことが困難となったため、今はファフニールの洞窟の近くに簡易的な拠点を立ててそこで暮らしてもらっています。

 え? 僕はどこで寝ているかって? そんなのファフニールと一緒に寝ているに決まっているじゃないですか。

 エルフの女の子たちと一緒に寝たいという欲望はファフニールの嫉妬により撃沈

 でもよかったと思えるんです、エルフの可愛い女の子と寝るということはご主人様に殺されかなませんから......

 だから洞窟の中で日々妄想を膨らませています

 そうそう、僕が一番気にしていた食関係の事情ですがエルフたちがいてくれたおかげで解決しました。

 これだけは譲れないとファフニールに生肉生活断固反対を掲げて一週間、渋々ながら了承をいただけました。

 彼女たちの作る料理は簡素ですが贅沢は言ってられません、生肉よりは何倍もましです

 さてそろそろ現状報告は終わりにして僕が今一番悩んでいる問題について話すことにしようと思います



「はい、では皆さん今日は僕のために集まってくれてありがとうございます」


 今俺はエルフが住んでいる簡易的な家の中にいた

 家の中には俺が呼んだエルフが数人いた彼らはエルフ族でも長年生きている長年者たちだ

 なぜ彼らを呼んだかというと簡単なことだ

 敵と戦うにはあまりにも戦力が足りない、それだけだ


「現在、エルフ族の総数は老若男女全員合わせて72名、これに間違いはないですか?」


 族長、名前はギール・アルフレッドの方向を見る

 ギールは手を顎に当てて答える


「ああ、間違いない、ただしどこかにひっそり暮らしているエルフがいるとは思うが」


 そう、俺がこれから守っていかなければならない人たちの数だ


(まあほとんど俺より戦闘能力が高いんだが)


 だけどこれから戦うのは圧倒的戦力を持った種族

 ファフニールなら普通の人間など簡単に殲滅できると思うだが勇者はどうだろうか

 不安要素がある限り安心はできない

 なので俺は手短に戦力を大幅にあげたいと考えた

 簡単に言えば他の所に潜んでいる亜人を探し出してここに連れてきて協力してもらう


「誰か、この周辺に潜んでいる亜人の情報を知りませんか?」


「使役者、それを聞いてどうするつもりだ?」


 そういいこちらを睨むエルフの男の名はアロウ・アルトシア、エルフ族で最も弓の扱いにたけたエルフでここで3番目に年を取った人だ

 実力があるだけに戦闘経験も相当であり持っている情報量も豊富だろう

 俺はまだ彼からの信用を得てはいない、人間族は決して信じない、それが彼の信条のようだ。

 別に構わない、無理に信じてもらってもこちらが困るだけだ。期待されすぎるのいやだからな

 ただその知識は吐いてもらうけどな


「はい、聞いての通り、現在エルフ族の総勢は72名、その中で戦えるものは4割程度、正直少ない、これでは人間には勝てません、ですので他の亜人たちを仲間に引き入れ戦力を上げたいと考えました。」


「それは間違ってはいない、でも彼らは仲間になってくれるか?」


 ギールは俺の考えに賛成のようだがどこか不安要素があるらしい


「彼らは亜人です。人間族への復讐を少なからず考えているものもいるはずです、彼らをあおれば勝算はあると思います」


「そうだな、でも考えてみろ、彼らが恨んでいるのは人間、そしてその彼らを仲間にしようとしているものは?」


「あっ」


 気づいてしまう、俺は人間だ

 俺が交渉に言ってもいい返事が返ってくることもなければ、逆に攻撃を受けてしまうかもしれない


(難しいな......俺が交渉しなかったとして彼らが賛同し仲間になったとしても俺が人間だといずればれる可能性があるか)


「盲点でした......」


「ふん、青二才が、そんなこともわからなかったのか」


 こ、こいつ! 言いたいことだけ言いやがって

 拳を強く握りしめ我慢する

 アロウはふんと鼻を鳴らしにらみつける


「この際だから言うが俺はお前に期待なんてしていない、お前の底何てたかが知れているからな」


「そ、そうですか」


 はっきりとした軽蔑の言葉にいっそのの事すがすがしさを覚えた

 結局話はまとまらず解散となった



「はあ、もうどうすればいいんだ」


 俺は洞窟に戻る帰り道、歩きながら愚痴をこぼす

 考えは悪くはないはずだ、しかし一歩足りなかった

 その一歩が遠く長く感じる、本当に思いつくことができるのかわからない


「もう一か月か......」


 気づけば異世界にきて一か月が過ぎていた

 いつ死ぬかわからないこの世界に来て明日を生き延びれるか不安がの日々積もる


「おい、どこへ行く」


 突然声をかけられた

 それが誰の声かは分かっている


「アルネシア様、どうしたんですか?」


 いつの間に俺の後ろにいたのか胸のないエルフの女がこちらを見ていた

 彼女は何か思うことがあるのか俺の正面からみない

 少し斜め下から口に出す


「どこへ行くと聞いたの」


「洞窟に戻ろうとしたんですよ、話はまとまりませんでしたからね、それでは」


 では僕はここでとお別れの挨拶をいう

 洞窟に戻って一旦考えを練り直そうと考えていた


「お座り」


「ワン」


 今、俺はどういうわけか彼女の声にこたえるように座り込んだ

 しまった......忘れていた

 奴隷とはただ単に口約束ではなかった

 そうこの世界には魔法がある

 その中に奴隷魔法というものがあるのだ

 簡単に言えばその魔法にかけられた者は従者となり主人の言うことを何でも聞いてしまう

 かけられたら終わりだが実はこの魔法欠点が多い、まずこの魔法を使うにはやたら長い詠唱を唱えなければならない

 まず戦闘中に唱えることはできないだろう

 次にこの魔法、割と簡単に無効化できる

 防御魔法であるレジストという魔法で無効化できる

 レジストとは状態異常を防ぐことができる魔法だ

 レジストは詠唱呪文が短く数秒で詠唱が完了する

 唱えさえすればもう奴隷魔法にかかることはない

 まあ俺は詠唱呪文すら知らなかったから無駄だったんだけどな

 あとは詠唱中に大声を出すとか一部を聞かないだけでも効果があるみたいだ何度もいうがこのことは奴隷魔法をかけられた後に知ったので無駄だった

 というわけで俺は何もできず奴隷魔法によりめでたくアルネシアの奴隷となった

 腕には奴隷紋が刻まれ薄っすらと光っている

 命令が有効化された証拠だ、主人が魔力を通し命令することで魔法が発動する


「なぜ帰ろうとしたの? 答えて」


 非常に冷たい声だ、これは怒っているな


「世界の平和のために」


「ふざけているの?」


「言えそんな気は全く!」


 蹴られた

 全く乱暴なんだから、そんな君も大好きだけどね

 まあ、冗談はこの辺にしておく


「少しばかり現状について考えていました。土台は固めてきたのでそろそろ頃合いかと思いまして」


「何の話よ」

 

 そういえば彼女は一回も話しに参加していなかったな

 少し話しておく必要があるか


「現在、エルフ族に人間族に対抗できる力はありません、ですのでどうやって補強するか考えていました」


 彼女はこう見えても頭は回る、とは思う

 彼女のおかげでこの世界の知識が増えたのだ、聞けば大抵のことは教えてくれるし根はいい奴のはずだ、暴力は多いけど

 それが愛と言うなら喜んで我慢するけどね


「あんたがいるでしょ」


 どうやら彼女は俺の事を戦力に見ているらしい

 嬉しいけどやめてくだせぇ

 俺自体の力じゃ、たかが知れているしな


「黒龍でしたら普通の人間の百や二百簡単に殺せるでしょうが、王国には勇者がいます、勇者が相手となると黒龍も勝てるかはわかりません、負けたとしたら我々は黒龍というたった一本の柱を失い滅びるでしょう、そうならないようにするために戦力の補強は必須です」


 事実、黒龍以外俺たちに戦力になるものは少ない

 俺は人間族の国の様子を知らない

 実際に赴いてみればわかることもあるだろう

 しかしまだよしたほうがいいだろう

 どうなるか予想ができない


「そうね......あんたの言うことは確かね」


 彼女は悔し気に歯噛みする

 わかっているのだ、彼女たちは俺という本当に細い柱の上にのっておりそれがいつ崩れるかわからないことを


「ですが......手はあります」


 彼女の顔は明るくなるがあまり期待しないでほしい


「聞かせて」


「まず――――」


 俺の思いついた考えを伝える


「なっ!!!!」


 彼女は驚いた声を出した

 俺の考えた作戦が開始されたのはこの話から3か月先の事である



 

 

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