第5話 捕まりましたwww

「ここは......」


 体を起こし周囲を確認するが残念ながらここには光が差し込んでおらず暗いため周囲の状況がわからない

 おそらくだがここは建物だ、地面を触ってみるとこれが木で作られた床あると理解した

 手探りで何とか移動し建物の壁にたどり着く

 叩いてみるそのまま音が流れていく、そこまで壁は厚くはないようだ

 ここに窓がないことを考えるとここは俺みたいなやつを入れておく部屋だと思っておく


「痛てて......あのエルフの女、容赦ないな」


 エルフの女に弓矢で刺された右腕には圧迫感を感じた


(布だな......)


 腕の傷は布がまかれ応急処置がされていた

 意外と面倒見がいいのか? 

 しかしいろいろな所を殴られ蹴られ傷は多い

 体のあちこちが痛み、動かすのも一苦労だ

 しかしまあなんでこんなところに......

 おそらく気絶した後、あのエルフの女はここに連れてきた

 わざわざこんなところに連れ込んで閉じ込めておく理由はまあ十中八九拷問の類をして情報を吐き出させるためだろう

 それ以外考えられない

 なのでこのままはまずいので出口を探したいのだが


「ん?」


 前方の扉が開き光が差し込む


「起きたか......」


 声に先には見覚えのないエルフの男がいた

 長身で緑色の髪を後ろで縛っている、顔は言うまでもなくイケメンだ


(はぁ、なんか虚しくなってくる)


 俺はがっかりじゃなく警戒する

 光が部屋の中に入ってきたことで周りの状況がわかる

 ここは牢屋だ、俺とエルフの男の間には木の柵で区切られていた

 出ようと思えば出れるかもしれないが今はしないほうが良いだろう

 とりあえず今は時間を稼ぐ必要がある


「っ......あなたは?」


 つまりかけた声をなんとか絞り出して聞いた

 情報は一つでも多くでも欲しい

 俺がなぜ生かされここに連れてこられたのか

 これからどうするつもりなのか

 これからお世話になっていいのか


「意外と冷静なんだな」


 エルフの男は淡々と言ってきた

 その表情はどことなく暗い

 その表情からあまりいい雰囲気とは言えない


「そうですかね......実感はないですけど」


「この状況で慌てない人間は珍しい、慣れているのか?」


 意外と失礼な奴なんだな、俺が捕まりなれているって? 犯罪なんてしたこともないし僕は白でっせ


「いやいや、そんなわけないじゃないですか」


「そうか、ふむ......」


 エルフの男は俺の体を嘗め回すように見てきた

 視線がくすぐったい

 変な気起こさないでねと思いつつ相手の言葉を待つ


「君は珍しい服装をしているね、魔法使いにしては派手すぎる、いったい何者なんだ?」


 あ、そうすか、見てたのは服ね......

 べ、別に勘違いなんてしてないし

 言われてみればこの世界ではこの服装は何かと目立つのかもしれないと着ていた服を見る

 自分の血に濡れところどころ擦っていてボロボロになっていた

 あの女め......ここまでする必要はなかったのではないのか

 しかし魔法使いか......

 魔法、その単語を聞いただけでここが異世界なんだと実感する

 こんな単語日本で言ってみろ、オタクだと思われてしまう

 まあその辺は別にいいとして魔法には興味がある、使えるならぜひ使ってみたいと思ってしまう俺がいた

 ま、そんなことは置いておいて返事を考え声に出す


「聞いてないんですか? 僕はファフニールの使役者ですよ」


「ファフニール? あの黒龍の名前か? それを知っているということは間違ってはないんだろうが......」


(なにか含みのある言い方だな、疑ってるのか? まさかな)


「いやぁ、それにしてもいい天気ですね」


 話題を転換させる、気づかれでもしたらまずい

 ここは臨機応変に世間話でもしよう


「一つ質問をする、君は我々の敵か味方かどっちだ?」


(見事に無視された、しかし結構がっつり聞いてきたな)


 その質問の答えによっては俺の運命がどうたどるのか予想するのは簡単だった


(敵か、味方かか......)


「それを聞いてどうするんですか?」


「さあ、ただ聞いてみたかっただけだ」


(そうですかって言って話を切り上げるのは簡単だ、だがそこで終わらせたらまずい気がする)


「敵だ、と答えたらあなたはどうしますか?」


「......」


 その目は酷く冷たく見られた瞬間怖気を感じた

 確実にみられてる。それも憤怒の目で

 まずいな、この質問はしくじった


「そうだな、簡単に言うなら楽には死なせないだろう」


(聞くんじゃなかった、なんなのこいつ最悪じゃん)


「と言うのは簡単なんだが君は黒龍の使役者なわけだそう簡単に行くわけがない、なので一つ提案なんだが君を開放する代わりに我々エルフ族には一切の手出しをしないと約束してくれないか?」


 それは彼からの願ってもない提案だった

 頷けば俺は自由の身となりここから出ることができるだろう

 しかし俺は


「......考えさせてください」


 

 


 

 

 

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