噂話-3 天使を語る者たち

「天使、みなが知る」

「けれど見た者はいない」

「物語の上のもの」

「子守唄の中のもの」

「翼が生えていたり?」

「後光が差していたり?」

「純白」「虹色」「空の色」

「見たことはない」

「想像が膨らむ」

「想像の中で生きている」

「生き続けている」

「遥か前の時代から」

「いつ頃から語られていたの?」

「発祥を知る者はいるの?」

「龍に聞いてみる?」

「龍は天使を語らないという」

「長生きな罪人に聞いてみる?」

「彼がもしも語るならば、我々は同じ罪を背負うことになるだろう」

「天使はどこから来たのか」

「どこへ行くのか」

「旅をしているの」

「夢を見ているの」

「どこまでも行くのだろう」

「世界の終わりまで」

「孤独なものね」

「こんなにも語られながら、本当の天使を知るものはいないんだ」

「隣で微笑んでいても分からない」

「天使だと名乗られても分からない」

「それでも天使はそこにいるのだろう」

「空に溶けているのだろう」

「青色に染まりたゆたう」

「天使とはただひとつの存在」

「きっとそこにいるのだ」

「だからみな語るのだ」

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