岩にせかるる

朝、母の声で起きた私は

すぐには頭が回らなかった。


キミが死んでる。


その事実を

ちゃんと理解するのに時間がかかった。


キミは手足をピンとしていて、

目を開けたまま横になっていた。


私はキミをタオルに包んで抱きしめた。


キミはまだ温かかった。

キミは少し前まで生きていた。

キミは一生懸命に生きようとしていた。


もしかしたら

私が来るのを待っていたのかもしれない。

そう思ってしまうのは

私のただの思いあがりかな。


私は悔やんだ。

もっと早く起きていれば。

もっとキミに好きだよって

大好きだよって伝えれば。

もっとキミに優しく接していれば。

もっとキミを大切にしていれば。

もっとキミをわかっていたら。


私はキミを怒ることも、

八つ当たりすることもしなかっただろうに。

私はキミに謝れないまま終わってしまった。

キミは優しいから、

私のことを

許してくれているかもしれないね。

大丈夫だよって言ってくれるかな。

慰めるために私の手を舐めてくれるかな。


本当にごめんね。

私はキミが大好きだったよ。

照れくさくて言えなかったけど、

世界で一番キミのことが大好きだった。

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