虹の橋〜私とキミの最期のとき〜

闇咲紫祈

瀬をはやみ

初めてキミと出会ったとき、

何か不思議な縁を感じた。

嘘なんかじゃない。

本当だよ。


本当はキミを選ぶつもりはなかったのに

気づけばキミは私の家に。


不安げな目が

ここはどこ?なんで連れてきたの?

って私に訴えかけてきた。

濡れた瞳は私を怖がっていたね。

今でも忘れないよ。

あの瞳を私は忘れることができないの。


キミはその小さな鼻を

ヒクヒクといっぱい動かして、

最初はケージから出てこなかった。


呼んでも

ご飯をキミのそばに置いても

キミは

まるでぬいぐるみのように動かなかった。

それほどキミは新しい世界に怯えていた。


でもいつの間にかキミは私の足元にいた。

私の匂いを嗅いで、

私という存在を

覚えようとしているみたいだった。


あれから何年もの月日が経って、

私はキミとの時間が取りづらくなっていた。


いつもイライラしていて、

あの日の夜、私はキミを怒った。

なんでご飯食べないの!ってね。


今でも悔やんでいる。

あの日、なぜキミを怒ったのか。

なぜキミに八つ当たりするようなことをしたのか。


まさか

次の日にキミが倒れているとは思っても見なかった。

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