役立つかもしれないコラム

GMガイド①【PLとPCを尊重するということ】

◆はじめに

 最近疲れているのか、変態ビルドとは名ばかりのクソマンチ構築や、何の役にも立たない一発屋といったキャラビルドばかりしてしまっている作者である。

 今回は主にGM向けの記事として、そうしたデータライクなキャラクターも含めてシナリオ内でどう取り扱っていくのか、という話をしたいと思う。また、ボスのデータ調整における簡単な指針なども書いてみたので、セッションの円滑な進行の一助となれば、書き手としては冥利に尽きる思いである。

 ただし、これはあくまで作者の個人的な見解に過ぎないため、本記事の内容をどの程度まで良しとするかは、読者各位の判断に任せたい。


 また、こうしたコラムめいた記事も、今後は不定期で投稿していく予定である。とはいえ続き物になるとは限らないので、ナンバリングに深い意味を求めるのはやめてほしい。

 ビルドの素案に詰まった時とかに、何かを思いついたら執筆していこうと思う。



◆前提・セッションの開始にあたって

 作者がGMを務める際には、まず参加者に対して、キャラシートを事前に提出してもらうことにしている。

 これはダブルクロスに限った話ではないと思われるが、どんなシナリオをやるにせよ、あらかじめGMが「このPLはこんなことをやりたいんだな」と把握しておくことは大事である。Dロイスや固定ロイスなどを見て、それに相応しい演出を考えたりすることもできるだろう。

 基本的にGMは、PLのやりたいことを規制するべきではないと作者は考えている。むしろ、やりたいことに応じてボスのデータを調整してやるくらいで良い。

 というのも、ダブルクロスというTRPGは仕様上、GMがその気になればPLを全く寄せつけないようなボスも、容易に作ることができるからである。

 エネミーに注ぎ込めるリソースは無限であり、またエネミーエフェクトやEロイスといった、バカげた効果を持つデータが山ほど存在するこのTRPGにおいては、最大の焦点が「GMがどれだけ自重できるか」にあると言っても過言ではない。

 装甲無視を持っているキャラがいれば装甲を適度に積み、範囲攻撃やシーン攻撃を持つキャラがいれば周りにトループを配置し、リアクションに重点を置くキャラがいれば、それを積極的に殴るようなデータ的裏付けやシナリオの仕掛けを作る……といった調整を、セッションを進行しながら行うことはなかなか難しい。そのため、あらかじめキャラシートの提出をお願いし、PLの希望を叶えられるようなデータを作っておくのである。



◆進行・セッション中の演出について

 作者は、ことダブルクロスというTRPGについて言えば、演出をかなり重視するタイプの人間である。

 せっかくエフェクトを使うなら、それがどんな能力なのかをカッコよく演出してほしいし、コンボを放つ時も、単に「コンセントレイトとカスタマイズと〜」とエフェクト名だけ並べるのではなく、「銃身に手を添え、必殺の一撃を放つ!」みたいなことも言ってほしいわけだ。


 それはともあれ、作者が単発セッションのレギュレーションとして良く使うのは、「初期作成+イージーエフェクト2つ」というものである。

 エフェクトだけで130点を使い切ってしまうことも多い初期作成環境では、別途経験点を渡してイージーエフェクトを取得させるだけでも、演出のハードルがかなり下がるものだ。RPを母親の胎内に忘れてしまったような和マンチビルドにも、少しばかりの華を添えてやることができる。

 また、シナリオの都合上、何としても入手してほしい情報などがあった場合も、適切なイージーエフェクトの使用に対してボーナスをあげるといったGMの裁量を活かしやすくなり、セッションを進める役割も果たしてくれるのである。

 PLがRPに詰まった時など、あらかじめ見ておいたキャラシートを元に、それを手助けするようなシーン作りをしてやることも可能となる。

 せっかくPCはオーヴァードとして超人的な能力を手に入れているのだから、そういった描写にも力を入れてこそ、セッションが盛り上がるのではなかろうか。

 もちろん、これはPLに演出を強要するべきだという意味ではない。そういったことを面倒だと思うPLも存在するのだから、そこを無理強いするのはTRPGの原理に悖る行為であろう。

 


◆クライマックス・ボスとの戦闘について

 ダブルクロスは、数あるTRPGの中でも特に戦闘演出のド派手な部類に入る。……少なくとも、作者はそう思っている。

 戦闘シーンはPLにとっても一番の楽しみであり、クライマックスでのボスとの戦闘において、彼らの分身たるPC達は、生命と理性を削りながら自らの信念を貫こうとする。

 そうした、骨身を削るヒリヒリした戦闘を演出するためには、ボスの側にも戦わなくてはならない理由と、PC達を倒すために全力を使っているという演出を用意しなくてはならない。前者についてはシナリオによって変わってくるので、今回は後者について話すこととする。

 これは具体的に言えば、回数制限のあるエフェクトを中心に使っていくということである。攻撃の起点となるエフェクト以外は、回数制限のある範囲攻撃や装甲無視、超火力、ダメージ無効、そして蘇生といったエフェクトを使うことによって、PC達に対し「ボスも身を削って戦っている」ということを演出できるのだ。

 ボスにとって、PC達が「絶対に倒さなければならない敵」であることを全力でアピールしてこそ、PC達もまた全力で戦おうとする。そして、同時にPLは「自分のPCをここまで評価してくれている」という満足感を得られる。これができてさえいれば、そのセッションは概ね成功であったと十分に言えるだろう。



◆最後に

 ダブルクロスのGMを務めるということは、他のTRPGのそれよりもかなり厳しい仕事である。サイコロフィクションのGMなんぞ、最悪シナリオすらマトモに用意していなくても回せることを鑑みれば、参照しなくてはならないデータが膨大で、かつ微妙な調整を要求されるダブルクロスのGMの負担は計り知れない。シナリオを自作する場合などは尚更だろう。

 だからこそ、まず全てのPLはGMを尊重すべきなのである。セッションを開催、進行できるのは、全てGMあってこそなのだという事実を、決して忘れるべきではない。

 そして――全てのPLがGMを尊重するからこそ、GMもPLを尊重し、共に良いセッションを作り上げようとするのである。

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