第3話 俺の能力【俺と友達になった人は消える】


俺はいつも通りに椅子に座りお得意の人間観察をしていたが、朝のホームルームまで長島の姿は見えなかった。


今日は休みなのかな。


俺は昨日初めて友達になった長島のことを気にしていた。

こんな感情は初めてで自分でも驚きだ。

後ろの席が空席だと思ったらその席は長島の席だった。そんだけ俺は人のことを覚えてなかったらしい。


すると、チャイムが鳴り、先生が扉から入ってきた。美人でとても若い先生は声を張り、少しこわばった表情で口を開く。



「えーと、とても言いにくいことだが、真剣に聞いてくれ。昨日長峰楓が失踪した」



先生の声を聞いてクラス全体に不幸な空気訪れる。コソコソと話している人や疑っている人などがちらほらいる。


だが、俺は一人俯きながら考えていた。


嘘だろ?昨日まで長島は学校にいて、また明日って笑顔で俺に言ってくれたんだぞ。それが急に失踪だなんて。信じられない。多分、家出かなんかじゃないのか。



「親御さんからも捜索願いが出ている。もし皆が知っていることがあればこの後私の所へ来てくれ」



騒めきが治らない。本当に急なことで普段冷静な俺まで混乱している。

すると、調子に乗って、笑っているカースト上位グループの一人が手を上げた。



「理恵先生ー、長峰くんて死んだんじゃないですか?そもそも学校に居ましたっけ?」



突然の問題発言でさらにクラスの皆が騒つく。

何も考えずに発言するその顔を見るととてもイラつく。



「聞き捨てならないな。そんな不吉なこと言うんじゃない。長峰は真面目に授業を受けていた。お前よりも何倍も賢いぞ。後で田中は私のところに来い!私でも怒る時はあるぞ!」



先生は表情には出さないが声音で怒っていることは伝わった。先生の話を聞き、田中は「はいはい~」とナメくさった言い方で流した。


酷い!酷すぎる!関わりがなかっただけでいないもの扱いかよ。だったら俺だってあいつの認識だったらいないもの同然だ。俺も田中とか言うやつのことを忘れるようにしよう。


理恵先生はとても優しい。みんなから慕われて笑顔が絶えない新任の先生だ。少し強い口調から憧れる生徒もたくさんいる。その分ある一部の生徒からは舐められて、エロい目で見られている。


そのままホームルームが終わった。

俺は一時間目を受ける気力がなかったので、屋上でサボろうと決め、屋上に向かった。


屋上には幸い誰もいなかったので、屋上に取り付けられてある長椅子に横になった。

太陽が直にあたって、ポカポカとした気分になり、このまま寝てしまいそうだ。だがら雨降れって、それか季節はずれの雪。


うとうとと瞼がゆっくりと閉じていく。


俺はそのまま寝てしまった。


何時経ったんだろう。


もう二時間目始まったのだろうか。


そろそろ起きなければ。


そう思い、俺は目を覚ました。



「あー、寝た寝た」



俺はスマホのホーム画面の時間を見て、驚愕した。

今はなんと13時10分になっていた。俺は約4時間も寝ていたことになる。クラスは今昼休みということで、少し安心はするが、

これはやばい。

絶対先生に怒られる。

そう思い俺は階段をいきよいよく降り、クラスの扉を開けた。授業中顔を出すより、休み時間中に顔を出すのじゃ比べ物にならないほど自分への負荷が違う。授業中だったら一斉に扉が開いた方を向いて、俺に視線が集まって恥さらしになるに違いない、それに比べて休み時間中だったら誰も俺に注目しない。透明人間になった俺は最強なのだ。


扉を開けた先ではまだ机を並べて、お弁当を囲いながら談笑しているグループがちらほらいる。幸い俺には誰も振り向かない。だが、一人俺の存在に気付き、声を掛けてきた。こいつなかなかの観察眼の持ち主で少し尊敬してしまう。



「お前図書委員な」



「え、無理」



「なんか言ったか?」



無理と言った瞬間、凄い形相で俺のことを睨みつけている。


こいつのいやつに負け俺は縮こまってしまう。



「いや何も、それでなんで俺が図書委員なんだ?」



「お前さっき授業いなかっただろ。それでいなかったお前は残り物の図書委員になったんだ。わかったか?」



授業をサボった俺は何も言い訳が出来ないのだ。だがら受け入れるしかない。決して、目の前にいる奴が怖いってわけじゃないんだからね!本当だからね!



「あぁ、わかったありがとう」



「じゃあな」



「おぉ」



伝えることを済ますとそいつはクラスの後ろで話しているグループに混ざっていった。

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俺と友達になった人は消えていく〜ぼっちな俺が猫JKと付き合う方法〜 神崎夜一 @guiltycrow

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