私たち、願いを声に出す。
神社に着いた。祐樹くんの顔がものすごく赤くて、話しかけることができなかった。
まあ、赤いのは私のせいなんだけど。
ちなみに、着物って気合い入りすぎて引かれるかもしれないという記事をネットで読んだので、きちんとさりげなく聞いた。
それにしても、お正月の神社って、思っていたより人が多い。
着慣れていない着物なのもあって、少し歩きにくい……
人の波に流されながら歩く。
空気が冷たい。
事前に防寒対策について調べてきたけど、寒いものは寒い。
ただ、そんな中繋いだ手だけは温かくて、ずっと繋いでいたいな、なんて思ったり……
お賽銭を入れて、鈴を鳴らして、二礼二拍手一礼。
顔を上げて横を見ると、真剣に祈る祐樹くんの横顔が目に映る。
相変わらずカッコいい。
おみくじなんかもやってみた。
私は中吉で、祐樹くんが大吉。
「すごいです!」って言ったら、「これから下がったりしない?今が絶頂期じゃない?」と心配そうに返す。
祐樹くんはたまにネガティブ思考だ。
そんなところも支えがいがあるから良いんだけど。
なぜか出店があった。
よくわかんないけど、たこ焼きを買ってみた。
祐樹くんはたい焼き。
食べさせあったりしたかったけど、人が多すぎてそんな余裕はなかった。残念。
そして、鳥居の下をくぐって外に出た。
私、実は初詣初めてだったんだけど、意外とあっさり終わっちゃうな……
そこで、祐樹くんが声を上げた。
「あっ、絵馬書いてない。お守りも買ってない……」
「あー……ほんとですね。人の波に流されて忘れてました。」
「どうしようか……戻る?」
「いえ、人の波に逆らって戻るのも無理そうです。」
そう話している間も、駅の方へ少しずつ流されている。
今から戻るのはおそらく無理だろう。
「でも、お守りは要りませんよ。……二人でいれば、いつだって大丈夫ですから。」
私、いつからこんな恥ずかしい言葉を言えるようになったんだろうか。
それでも、偽りなき私の本心だから。
「そ、そうだね。……照れるな。」
照れ照れ祐樹くん。私も照れ照れだけど。
恥ずかしいからか、祐樹くんが話題を変えた。
「そういえば、何をお願いしたの?」
「お祈りごとを口に出すと叶わないって言いますよ?」
「でもさ、せーので言ってみたい。少なくとも俺の願いはそんな迷信には負けないって思ってるから。」
なぜか顔が赤い祐樹くん。
私たち、今日顔真っ赤にしてばっかりだ。
「では、せーので言ってみましょうか。」
「せーの」
「「ずっと二人で一緒にいられますように!」」
まさかぴったり合うとは思ってなくて、でも少し……いや、かなり期待してて。
その期待通りになって。
なんだか無性に可笑しくて、私たち二人とも周りの目も気にせず大笑いしていた。
------------
……地震怖い。
さて、番外編1はこれにて終了です。季節行事ネタだっただけに急いで書きましたので、少し雑だったかもしれないと後悔中。十中八九後で色々直します。
リクエストはまだまだ受付中です〜
それではまたいつか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます