私、いざ勝負。
「先輩、私のもおいしいので、食べてください!」
今、私は幸せな気分だ。
だって、先輩から先に「あーん」ってしてくれたから!
きっと今の状況は先輩にとってまんざらでもないはず!
ついに希望が大きくなってきた!
そんな期待に胸を膨らませて放ったのが、さっきの台詞。
先輩は一瞬迷った後、意を決したかのように私のフォークにかぶりついた。
食べた後、先輩は照れくさいのをごまかしたいのか、しきりに「うまい。」とくり返していた。
先輩はやっぱりかっこいいし、優しい。
今日一日一緒にいて、かっこいいだけじゃなくて、可愛い一面も知ることができた。
私が抱いた小さな恋心は勘違いなんかじゃなかった。
今なら断言できる。
さて、時刻は午後五時。
そろそろ最後の場所へ行こう。
私の最初の、そして最後かもしれない告白をしに。
◇◇◇◇◇◇◇◇
私が用意した決戦の舞台は、さっきまでいたショッピングモールを見下ろせる、丘の上の公園だ。
夕日がとっても綺麗に見える告白の穴場スポット。
私だって恋愛小説も読むし、ロマンチックなシチュエーションに憧れたりもする。
まあ、そういうのってだいたい告白は男性側からだけども。
ちょうどいい時間帯に来れたようで、地平線に夕日の縁がかかろうとしているところだ。
真っ赤に染まる空はまるで私が初恋に燃える様を映しているようだな、と思ってみたり。
でもそれだと、日が沈んだ後って暗くて不吉だからやっぱりさっきのは無し。
そんなくだらないことを考えてるのはやっぱり緊張してるからか、と冷静に観察する自分もいる。
……そろそろ本題に入らないと先輩も不審に思うかもしれない。
先輩に気付かれないないように小さく息を吸って、吐いて。
緊張を表に出したらだめだ。今までアピールしてきたときみたいに自然に、自然に。
そして私は再び息を吸って、先輩に声をかけた。
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