俺、カウンターを狙う。

ぬおぉぉぉ~……

もうね、不意打ちであの顔は破壊力が……

目を閉じているからか、キス待ちに見えてしまう……


それにしても桜ちゃんは狙ってやってるのか?

というかもう確実に狙ってやってるだろ!


だとしたら、なぜなのか?

俺のことをからかって楽しんでいるのか、それともまさか俺に惚れたとか!?


でも昔からモテたことなんか無いし、チンケな物語みたいな展開、ありえないだろう。

ただ、チャンスがあるなら、俺は……


「お待たせしました!パンケーキのメープルシロップとホイップクリームでございます!」


俺の思考をぶったぎったのは店員さんだった。

持ってきたのはパンケーキ。

ちゃんと二皿あるし、普通のパンケーキだし。

少し意外だったが気を抜いて食べられる。

残念とか思ってない。断じて。


「「いただきます!」」


自然とタイミングがあったことに二人で少し笑ってから食べ始める。

特に会話もなく安心して食べられると思っていると、


「先輩、そ、その……少し味に飽きたので、先輩のを一口いただけませんか?」


「おう、いいぞ。」


そう言ってからお皿を差し出すと、桜ちゃんは爆弾を投げ込んできた。


「せ、先輩さえよければ、食べさせていただけませんか!」


は!?何言ってんだこの後輩!

よく見ると桜ちゃんの顔も赤くなっていた。

……ふむ、どうせからかわれてるなら全力で乗ってやろう。


「もちろんいいぞ。」


にこやかさを意識して返事をした後、小さめにパンケーキを切ってからクリームをのせて桜ちゃんに差し出す。


「はい、あーん。」


やっぱこれだよ、これ。

まともに意識すると恥ずかしいので頭のネジを二、三本とばしている。


そうすると、桜ちゃんはためらいがちに差し出されたフォークにかぶりつく。

あいかわらず仕草がいちいち可愛い。

どこまで狙っているのか…


カウンターを決めて少しスッキリした気分でいると、桜ちゃんから更なる反撃が来た。


「先輩、私のもおいしいから、食べてください!」


桜ちゃんはそう言いながらフォークを差し出してきた。

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