あとがき


 まずは、本作を読んで頂いたみなさんに、お礼を言わせてください。


 ありがとうございました。


 本作「カーニヴァル・エンジン戦記3 惑星ナヴァロンの狙撃姫」は、2007年11月から書き始めて、2008年5月に書き終えた作品です。


 ここまで読んで頂いた方なら、だいたいの経緯は分かると思うのですが、長編の続編の続編として書かれた本作は、当然このままどこかに投稿するということも出来ない、いわば完全に趣味として書かれたものであり、当時WEBで小説を公開するなどという発想のなかったぼくにしてみれば、だれかに読んでもらう当ての全くない長編小説でした。


 それが実に、11年の歳月を経て、日の目を見たわけです!というとなんか格好いいんですが。



 当時の日記のデータをサルベージした結果、ぼくが本作のアイディアを得たのは、大河ドラマ「風林火山」であるということが分かりました。山本勘助を描いた「風林火山」の冒頭に籠城戦があるんです。


 ちょっと話がそれますが、昔市川海老蔵さん主演で製作された大河ドラマ「MUSASI!」の第1話で、映画「七人の侍」に似たエピソードがあり、黒澤プロからのクレームを受けてNHKのお偉いさんがわざわざ謝罪に出向いたという事件がありました。

 ですが、この映画「七人の侍」のエピソード、じつは塚原卜伝のエピソードとされるものを流用したもので、決して黒澤明監督オリジナルの創作ではないのです。

 が、ではNHKが塚原卜伝のエピソードを参考にしたかというと、それもないんですが。つまり、結局はパクリなんです。


 で、時は流れて、大河ドラマ「風林火山」の籠城戦です。

 結論から申しまして、この作中の籠城戦は、酒見賢一さんの小説「墨攻ぼっこう」からのパクリであります。

 というわけで、めぐりめぐって、本作のアイディアは、「墨攻」からきているといっても、過言ではないわけであります。



 前置きが長くなりした。

 本作の話にもどします。


 まず、惑星ナヴァロンはもちろん映画「ナヴァロンの要塞」からとっています。そのせいかどうか、ナヴァロン人の名前は全員、ドイツの銃器メーカーや銃からとっています。


 モーツァルト・ジュゼル(モーゼル)、シュバルツ・マイザー(シュマイザー)、ワルツ・クエイサー(ワルサー)、ルル・ルガーはルガーなんですが、説明の必要はないですね。


 そしてもうひとつ、本作の重要な登場人物モーツァルト・ジュゼルには、実在のモデルが存在します。いえ、天才的スナイパーではなくて、ちょっと天然入った女の子なんですが。

 本作を書くにあたり、じつはこれ、題名から最初につくられています。海外のSF小説「惑星カレスの魔女」という作品から題名の流用でそれっぽい「惑星ナヴァロンの狙撃姫」というのが作られてまして、この狙撃姫は狙撃手、スナイパーですね、それでいこうと。

 個人的に今まで読んだ中で一番面白いと思っている小説、スティーブン・ハンターの「極大射程」から、その主人公ボブ・リー・スワガーみたいなスーパー・スナイパーを登場させたいと思い、狙撃姫モーツァルト・ジュゼルの名前を決めました。で、そのキャラクターとして選んだのが、当時の職場で一緒だったバイトの女子大生ヤマモっちゃんです。モーツァルトのキャラは、このヤマモっちゃんをモデルに作られているんです。


 また、本作は案外遊んでいまして、元ネタ的なものが多数存在します。


 強力な敵として登場するウィザード隊。もうこれ、完全エースコンバットの敵飛行隊からとってます。内訳の青いウィザードとか緑のソーサラーとかは、ゲーム「ドルアーガの塔」から。

 「赤の三銃士」は、もしかしたら皆さん「黒い三連星」を想像したかもれしないですが、これ実はゲーム「バーチャロン・マーズ」の敵からとってます。

 各キャラの名前の由来は、「ルジェ・クレームド・カシス」というお酒からです。


 そして、途中で出てくる「ボルト・アウト」を「ボトル・アウト」と言い間違えるというしょーもないネタ。これを書いた当初ネットで調べたら、まったくヒットしなかったんですが、現在はいくつかのブログで指摘がありますね。

 アニメ「機動戦士ガンダム」で主人公アムロ・レイ役の古谷徹さんが、言い間違えたセリフです。第三十三話の冒頭モビルアーマー・ブラウ・ブロとの遭遇戦で言い間違えてます。またドリル・ガンガーのネーミングとそれに関するヨリトモの「アストロだかスペースだか……」の感想は「機動戦艦ナデシコ」からとっているのですが、説明は割愛します。


 作中の「ワイルドホイール作戦」の元となった戦法は、「ワゴン・ホイール」といって実在します。ベトナム戦争で使われたそうです。


 ほかにも探せばかなりありそうなんですが、あとひとつだけ。

 「ストロベリー・アタック」の冒頭は、「彩音ぇ」というセリフから始まってますが、あれ、当時遊んでいたXボックスの格闘ゲーム「デッド・オア・アライブ」を起動すると最初に聞こえてくるオープニングムービーの「霞ぃ」からパクッてます。これまったく、何も考えてないです。


 で、当然、当初あのキャラは「霞」だったわけなんですが、そうするとプラグキャラの名前が「カスミ」になり、「マスミ」とかぶります。で、「霞」から、その妹の「彩音」に改名して一括で置換してるんですが、もしかしたらどこかで置換ミスがあり、カスミのままかもしれません。


 ……と思ってたら、なんと、後半でベルゼバブが剣術の構えで「下段霞」という構えにとる場面があるんですが、そこが「下段彩音」に変換されてた(笑)。

 みなさん、キャラクターの名前は、よく考えてからつけましょう。



 さて、本作「カーニヴァル・エンジン戦記3 惑星ナヴァロンの狙撃姫」、ラストはこのアヤネちゃんの気になるシーンで終わっていますが、続きはありません。ここで終わりです。

 いやぁ、残念ですね。


 ……え、「おまえ書け!」って? いやまったくその通りなんですけどね。


 このあとのアイディアもたくさんあって、実はキャラクターの中には、最初から死ぬこと前提で作られた人もいます。そして、あともう一機、ユニーク機体が出ます。アスタロト以外に、です。



 そして十年前、本作を書き終えた段階で次巻の題名だけは決まっていました。内容はまったく決まっていないのですが。


 もし続きを書くことがあるとすれば、その題名はこうです。


「カーニヴァル・エンジン戦記4 赤い悪魔」



 みなさん、機会があれば、またこの戦場でお会いしまょう。



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カーニヴァル・エンジン戦記3「惑星ナヴァロンの狙撃姫」 雲江斬太 @zannta

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