梨花の想い…

窓から射し込む朝陽で今日は起きた。

私の横には、まだ、あまり良く知らないけど、

大切だな…と思う彼が静かな寝息をたてて寝ている。

彼を起こさないように、そっとベットを抜け出し、

バルコニーへと向かった。

夏の日差しが痛かった。


あれから何年経ったのだろう…

思い出したいけど、思い出したくない。

私には、今の生活があっていると思う。

晴れた日は、何故か、いつも私の心を強く締め付ける。

あの日のことはもう忘れたはずなのに…

純正は今、何をしているのだろうか…

毎月のように彼から手紙が届いていた。

でも、何故だか怖くて一度も読んだことはない。

もう、私はあの頃の私ではない。

「私は変わったの…」

私はそう呟いていた。


寝室の方から声が聞こえる。


「何してるの?梨花、」

「ううん、別に何でもないよ…」

どうやら、彼を起こしてしまったようだ。

いつも、彼は優しい。

今の私にとって彼がすべてといっても過言ではない。

「こっちにおいで」

ベットから優しい声で彼に呼ばれる。

「うん、今行くから、待ってて」

彼のぬくもりが残るベットに潜り込むと彼は強く私を抱きしめた。

「痛いよ…」

「だって梨花がどこかに行ってしまいそうだから」

やさしく彼がささやく私はその温かい声がとても好きだ。

「行かないよ…どこにも」

「そう?それならいいけど…」

彼の腕の中で、私は静な安らぎを覚えた。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る