人類が進化させてきた文明が、民族の文化を消し去っていく―。

 人類が進化させてきた文明が、民族の文化を消し去っていく―。
 そんなことを、この物語は語ってくれます。
 人の生活は、様々なものが機械にとって代わり、楽になった部分が沢山あります。しかし、その一方で面倒な風習は、人々の生活から消えていく。特に民族の中で継承されてきたものは、同じ民族の若者たちが引き継いでいかなければ、残ることのないものだと思います。
 『神々と生きる人々』はたしかに架空のレポートではありますが、文章を辿ると作者が読者に伝えたい情景がまざまざと目に浮かびます。まるで本当に神聖な火を運ぶ民族が実在しているのではないか、と思うほどです。
 実際の世界で似たような状況にある文化が、導入される新しい文明によって失われていくことがある。そんなことを伝えてくれる物語だと思います。