17.Swollen(膨れた)

「貴方の思いついた抜群のアイデアは、十中八九、先人がもうすでに書いている」

 二〇一四年に唯一受講した山本弘先生の小説講座で言われて、とても印象に残っている一言だ。

 結局、思いついてからが重要で、そこからそのアイデアを最大限に生かす方法を考えて煮詰めて膨らませていく作業が大切なのである。思いついてすぐに書いちゃうと往々にしてK点を超えてこない。


 いま、ずっと温めているアイデアがある。


 もしこのアイデアを膨らまして具現化して作品にまで持って行ければ、多分まだ誰も書いたことのない小説に仕上がると思っている。いや別に鼻で笑って貰ってもいいよ。どうぞご自由に。でも僕は真剣だ。


 小説を書くときでも、TRPGでGMをやるときでも、たったひとつだけ決めていることというか、やらなきゃいけないと思っていることがある。


 ――びっくりさせたい。


 物凄くシンプルで、これ以上のことはもう何もない。

 反則でも場外乱闘でもなんでもいい。これまでだれもやらなかったことをやりたい。見たことのない景色を見せたい。

 もちろん毎回上手くいくわけじゃないけれども、志しているのはそのあたりのことしかなくて、僕はそのためにずっとずっと考え続けているのだと思う。


 チャールズ・チャップリンは、最高傑作はどれですかと聞かれて、もちろん次回作さ、と答えたらしい。

 僕も出来ればそうありたいと願っている。

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