11.Cruel(残酷な)
残酷な、の続きは天使のテーゼしか思い浮かばない。
完全に世代だった。
当時、高校二年生。
アニメ好きのオタク青年だった僕に見事に突き刺さったのが『新世紀エヴァンゲリオン』だった。
緻密な設定、謎が謎を呼ぶ展開、マティスフォントを使った印象的なカットイン。どれもこれも物語を牽引するのに一役も二役も買っており、強烈なインパクトを持って放送されていた。
毎週欠かさず見ていたし、録画して自分なりに検証もしていた。
それだけに最終回は僕の中では残念だった。
精神性に注力するあまりロボットアニメとしてのカタルシスを放棄したような内容で、見終わっての第一声は「……いまの、なに?」だったんじゃないかと思う。
エヴァとちょうど同じ時期に、同じぐらいの熱量で追いかけていたTVアニメがある。
『マクロス7』
ロックバンドと真っ赤なバルキリーという組み合わせは、当時の僕にとってこれまたどストライクだった。
『マクロス7』の最終話は素晴らしかった。エヴァと違い、安心してオーディエンスでいさせてくれた。
ちゃんと僕らの期待に応え、その先の景色を見せてくれた。
今でも年に一度ぐらい僕はこの最終話を見返している。
もうね、密度がすごい。
これまでやってきたことはおろか、前作のエッセンスまで拾い上げて、全部巻き込んで昇華していく。
第一話からずっと登場していた花束がちゃんと仕事する場面とかはもう拳握りしめて見てしまう。
よくもまあ三〇分枠でこれが収まったものだと感心する。
主人公の熱気バサラが〇〇で〇〇を〇○〇そうとするシーンとか、普通にやるとただ馬鹿なだけなのだが、積み上げてきたものがちゃんとあるから思わず熱く応援してしまうのだ。
『マクロス7』の満足感と『新世紀エヴァンゲリオン』の失望感から、僕はこのあとアニメから遠ざかることになる。
そして、二〇年の時を経て『弱虫ペダル』『コンクリート・レヴォルティオ』『Re:CREATORS』あたりからまたアニメ熱が復調するわけだが……それはまた、別の話。
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