第40話 采女(3)


御堂河内みどこうち、ここがお前の部屋だ。ベッドはあるが、今、使っているものの方が良ければ、交換しても構わない。好きに使ってくれ」


 ……はい?

 私の部屋? ベッド?


「えっと……。私って寮から通えばいいんですよね?」

「何を言ってる。まさか、何も聞いてないのか? 住み込みだ。ここで寝泊まりしてもらう」


 え? ええっ!?

 なんでよ?

 まさか……、変なこと考えてないでしょうね?


「なんだ?」

「……いえ。なんでもないです」


 私の考えすぎ……よね。

 髪飾り事件の時も、坊ちゃん、私に何もしなかったもんね。

 って、そもそも相手にすらされてないか。


 それじゃあ、ここで寝泊まりするとして……。

 う~ん。

 ベッドはこの部屋にあるやつを使おうかな。寮から持ってくるのは大変だもんね。

 それ以外の私物は、後で寮に取りに行こう。


「俺とバオはオヤジの所に行く。さっきの三人を任せたぞ」

「は~い。行ってらっしゃ~い。……あっ! 待って! 今日は私を含めて、三人とも殆ど仕事できないかも……」

「なんでだ?」

「だって、私、あの三人の先輩のこと何も知らないですもん。今日はお互いのことを知るための面談をしたいなと」


 な~んて。

 先輩達とおしゃべりしたいだけだったりして。エヘヘ。


「面談……必要か?」

「必要っ! チョー重要! いらないとか信じらんない!」

「わ、分かった。好きにしろ」


 ウヒッ。

 よ~し! そうと決まれば、紅茶とお茶菓子の準備よっ!

 おっかし、おっかし。

 どっこ~にあっるのっかな~?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る