スキルの試運転をする

 よし、じゃあ【チェンジ】を使ってみるか……


 俺はそう考え「チェンジ」と言うと何かが出てきた。


『性別 男

 年齢 16

 顔 60/100

 身長 163cm

 肌 50/100

 筋肉 28/100

 体力 59/100』


 試しに男を女に変えてみた。


『性別 女

 年齢 16

 顔 75/100

 身長 143cm

 肌 100/100

 筋肉 17/100

 体力 32/100』


 に変わった。

 そして俺は光に包まれる。


 光が去って声を出そうとすると身体に違和感があることに気付く。


「……胸があるな」


 声も女声になっていた。


「ふむ……身長も低くなって見る景色も変わってるな……」


 性別欄を男に戻すと元に戻る。


「鏡を借りるとしよう」


 そう言って俺は1階に向かった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 鏡を借りて部屋に戻った。


 性別欄の所を女にするとまた胸が出てくる。


「……自分で言うのもなんだが結構可愛いな」


 赤目赤髪になって顔立ちが良くものすごく可愛い娘になった。


 うむ……いいな。明日この姿で歩いてみよう。今日のところは男のままで……


 男に戻りやることがなくなった。


 うーむ……透明化も試してみるか。


 その場で透明化と言うと鏡から俺の姿が消えた。


 うわー、怖い。


 このまま1階に行っていたずらしてみようか?


 そうニヤついていると扉がなる。


「リクさん、ちょっとい……いで……す………………で、でたぁぁぁっ! お、おねーちゃーん!」


 言いながら開けてきたのは少女──リンちゃんだった。


 鏡が浮遊していることに驚き顔が青くし姉のレイリンさんを大声で呼んだ。


「何! リクさんしか宿泊客がいないからって騒がないで!」

「お、お化け! リクさんが入った部屋にお化けいるの!」

「お化け? アンデット系の魔物がいるの?」

「分かんない……けど鏡が浮いてるの!」

「何言って………………リ、リン……1階に戻るわよ」


 レイリンさんも顔を青くしてリンちゃんにそういった。


「あ、用事って何?」

「リクさん!? どこです!?」

「あ、悪い。透明化解除」


 そう言って透明化を解除させる。


「リクさん!? どこにいたのですか!?」

「透明化ってスキルを使ってたんだ」

「それってほんとにあったんですか……リクさん悪用しないで下さいよ?」

「しないって。それでリンちゃん用事あったの?」

「あ、えと……お話したくて……お礼もまだだし……」

「なんかリンちゃん……ここの前であった時は年相応の幼さを持ってたけど今になったらもう大人って感じだね」

「リクさん、今リンは仕事モードで切り替えてるんですよ」

「うわぁ……大人だ」


 流石に感心する。すごい。


「えへへー。ありがとうです」

「凄いね」

「リクさん、リンをそんなに褒めてはいけません。調子に乗ります」

「そうか。リンちゃん頑張れよ?」

「うん! 頑張る!」


 天使ここに現る。

 リンちゃんマジ可愛い……できる子で……俺とは違い大人だな。


「では私はこれで。リン、リクさんに迷惑はかけない事。分かった?」

「はーい」


 リンちゃんが返事をするとレイリンさんは仕事に戻っていった。


「それで話って?」

「まず、おねいちゃんを助けてくれてありがとうございます」

「普通にしてていいよ」

「……はい。おねいちゃんを助けてくれてありがと! それにここも守ってくれてありがとね!」

「どういたしまして」

「……」

「……」


 何この沈黙……。気まずい……。


 そう思い俺は何かを話そうとする。


「……リンちゃんって姉思いだね」

「?」

「リンちゃんと最初にあった時に真っ先に姉のレイリンさんを助けてって言ってたから」

「えっと……そうですね……おねいちゃんが今居る中で家族ですから……」

「そうだったんだ。ごめん」

「大丈夫です。私はこれで……」


 そう言ってリンちゃんは出ていった。


 リンちゃんが出る際俺はリンちゃんを鑑定した。


 ────────────────────


 リリアンヌ 女 (人族)魔族 魔蟲族


 Lv.(3)83

 HP.(67)3894

 MP.(15)7342

 攻撃力.(18)3082

 防御力.(10)2864

 魔攻力.(7)7538

 魔防力.(4)8193

 俊敏さ.(11)2047


 常時スキル.(【鑑定偽造】【人族化】【魔法攻撃ダメージ半減】【魔法攻撃増加】【MP消費半減】【魔法察知】)


 使用スキル.【洗濯(偽)】【家事(偽)】【料理(偽)】(【暗殺術Lv10】【鑑定】【眷属召喚Lv4】【魔法分析Lv2】【呪術Lv6】【狂歌Lv7】【人族操作Lv10】【狂気噴出Lv6】【剣術Lv5】【弓術Lv5】【魔物召喚Lv10】)


 魔法.【火属性Lv1(10)】(【闇属性Lv10】【重力属性Lv6】)


 称号.【宿屋の娘(偽)】(【人騙し】【人殺し】【同族殺し】【狂魔】【魔蟲族の長の娘】【暗殺者】【這い寄る者】


 ────────────────────


 いやいやいやおかしいだろ。リンちゃんが魔族? そんなはず無いだろ

 偽造で……って逆におかしい。魔族に偽造する意味が無い。


 ……つまりリンちゃんは魔族って事か……うん。意味不明。ラノベとかだったらフラグ立てられてからとかそうゆう言動をしないと魔族は出ないってのになんでいきなり魔族が出る? おかしい……おかしい! んー……まぁ、いいか。つー事で寝よう。寝て落ち着こう。


 そう考えて俺はベッドに入り眠りに入った。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 チクリチクリチクリ……虫に刺された痛みが頭に何度も来る。


 流石に起きる。

 するとリンちゃんがいた。

 刃物を持って……


「……」

「何してるのかな? リンちゃん」

「……えと……」

「んー、それともリリアンヌって言った方がいい?」


 そう言うとリンちゃん基リリアンヌが驚愕の表情を見せた。


「あー、やっぱり魔族か……それで何してるの?」

「……」

「黙ってるって言うならこっちも手があるんだけど……ねぇ?」

「……お、おねーちゃん!」


 リリアンヌがそう叫ぶ。


 多分レイリンさんは普通の人間だと思う。

 そう信じたい。


 と、そこで扉が開く。


「何!?」

「リクさんに……」


 うん。知ってた。だから俺は透明化で姿を隠した。

 もちろんベッドからは離れているため気付かないはず。


「リクさんがどうしたの?」

「刃物を私に……」

「……嘘はダメよ? リクさん居ないじゃない。リンが刃物を持ってったんでしょ?」

「違う!」

「違いません!」

「言わせておけば……人間如きが……私に……」


 ぷるぷると震えだしリリアンヌが怒り出した。


「り、リン!?」


 俺はレイリンさんに鑑定をしたがレイリンさんは人族だった。


「リン!? しっかりして!」

「私に歯向かった事を後悔させてやる。【ラスト・グラビティ】」


 ドンッ! とレイリンさんが倒れる。

 同時にリリアンヌも倒れる。


 俺は『ちょっと体が重いなぁ』ってしか思えない。


「な、ん、で……」

「んー、ラノベとかだとなぁこんな異世界に来てからすぐに魔族に出会うなんてことないからなぁ……流石に驚いてたけど……スキルのお陰で俺は無敵だから楽勝だな。じゃあリリアンヌ、スキルの試運転身体で付き合ってね。まずは……【MP強奪】」


 不思議と力が湧いてきた。

 一方リリアンヌは苦しんでいる。


「うーん【創造】」


 そう口にすると色々な項目が出てきた。


『創造

 矢 弓 盾 鎧 剣 ポーション 魔石 動物 魔物 その他』


 と、出てきた。試しに剣を押すと……


『剣

 長剣 片手剣 双剣 大剣 短剣 ナイフ 神聖剣』


 の項目に変わった。


 1番気になる神聖剣を押す。


『神聖剣 名前 ‐

 攻撃力 986(最大2000)

 耐久力 10000(最大1000000)

 属性 神聖(固定) ‐ ‐ 

 属性候補 火 水 風 雷


 作製』


 次にこうなった。


 んー、名前は……エクスカリバーでいいかな? 属性は……火と雷を付け加えて作製を押す。

 すると空中に金色の剣が出現した。


「おお、すげぇ」

「そ、それは……や、やめ、て!」

「実験体が喋るんじゃねぇ。俺に攻撃してきた時点でお前は敵と認識した」


 ニヤッと笑う。そして1度だけ剣を軽く降ってみた。


「おぉ、棒っキレくらいに軽いな。さーて……切れ味の方は……」

「い、や、、、やめ、て」

「お前は魔族だしなぁ〜。魔族ってことは殺しても問題無いよな? なぁ? リリアンヌさぁん?」


 魔族という言葉にレイリンさんが驚く。

 因みに透明化は既に解除している。


「どこにするー? 手? 足? 腹? 顔? それとも首?」

「や、……やだ、やめ、て、、、死にたく、無いっ」

「じゃあレイリンさんに決めてもらおうか。レイリンさん、この魔族殺しても大丈夫ですか?」

「……」


 喋ろうとしたがどうやら声が出ないらしい。


「大丈夫なら首を縦にダメなら横に振ってください。レイリンさんの意見を尊重しますから」


 そしてレイリンさんは首を……縦に振った。


「はぁい。てことでリリアンヌ。死刑だ。じゃあ首だぁ!」


 ザクっとリリアンヌの首にさっき作ったエクスカリバーを刺す。


 チーズを熱した鉄で縦に切ってるような感じがした。


 そしてエクスカリバーを抜くとそこから大量の緑色の血が噴出した。


「うわっ……き──」


「きゃあああああああああああああああ」


 レイリンさんが悲鳴をあげた。

 顔が真っ青になっている。


「レイリンさん?」

「ま、まぞ、魔族が……こ、こここ、ここに居るなんて……嫌、嫌、嫌ッ!」


 レイリンさんが震え叫びだした。


「レイリンさん! 落ち着いてください! 【クリーヒール】」


 光属性Lv7で使うことが出来るようになる魔法をレイリンさんに向けて放つ。

【クリーヒール】は精神を回復させる回復魔法。使用MPが馬鹿みたいに高い。


 リリアンヌを殺した事によるレベルアップでレベルが13になった。

 そしてMPが41に。【魔法の知恵】の効果でMP50プラス。

【クリーヒール】はそれでもMP50はした。そう、【魔法の知恵】の半減を持ってしても50弱。まぁ、もう回復してるけど……


 即時回復のお陰でMPは既に全快。


 因みに【クレーヒール】のことが分かってたのは【魔法の知恵】のおかげだ。


「落ち着きましたか?」

「……え、えぇ……り、リンは……リン? 誰だっけ……私一人っ子なのになんで妹なんて……」

「洗脳されてたんです」

「そう……よね……」


 んー、なんで異世界転移早々魔族となんかと戦う羽目になる? おかしいだろ……普通は仲間を手に入れてから魔族が来たり、人間に化けて来たりってするのが当たり前で魔族が最初の方に来るはずねぇんだよなぁ……この異世界が異常なのか?


 考え込んでいるとレイリンさんが「私は少し休んどきます」と言って部屋から出た。

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