5.プロデューサーのお仕事
アイドルに必要なもの。
笑顔でずーっと踊るんだから、やっぱ笑顔をキープできる才能だよね。あとは、人を楽しませられるトーク力? それから、基礎体力に歌唱力……ほかにも必要なものってあるかな。
「あら、なにを書いてるの?」
「わっ! なんだ、
「なんだとはなによ、せっかく会いに来たのに」
「あはは、ごめんね」
彼女はドルオタ仲間の一人、
で、あれからというと、夜にいつも見てる音楽番組を見て……アイドルの研究をしていた。といっても、ノートに書き留めても、なにかわかるのかなあ……
十和子ちゃんに事情を説明すると、生徒会長、という言葉で、はあ、と頭を抱えてため息をついた。ああ、十和子ちゃんもあの人がイヤなんだ。
「ごめんなさいね、うちの会長が」
「十和子ちゃんのせいじゃないよ、全然……」
「おかげであなたたちに迷惑をかけたのよ、なんとおわびすればいいのか。なにかあったら言ってね?
アイツの
ひええっ、十和子ちゃん、腹黒くなってるよ! 大丈夫、今はそこまでじゃないから! 今の十和子ちゃん、吹雪のように冷たかった……!
十和子ちゃん、普段は賢くて優しくて美人だけど、怒らせるとホントーにこわい……!
そうだ、十和子ちゃんならアイドルに必要なものとか知ってるかも! なんてったって、生徒会副会長なんだから、この学校のドルオタの中で一番頭がいいの! ねえ、なんだと思う?
「うーん、私が見ている限り、アイドルっていうのは、カリスマ性じゃないかしら」
カリスマ性……よく聞く言葉だけど、あらためて考えると意味が理解できてないかも。
電子辞書で調べてみよっと。えーと、『預言者・呪術師・英雄などに見られる超自然的・または常人を超える資質のこと』……うーん、ざっくりしてるなあ。
つまり、アイドルは、人間離れした、すごい才能を持ってるってこと? 誰にも、なれないって、こと……?
「なに落ちこんでるの、いい、誰だって最初は初心者よ。きっと今の人気アイドルだって、下積み時代からがんばってたから今のように成功してるのよ。アイドルに必要なものはこれでいいんだから、次は彼らになにをさせるべきか、考えたらいいんじゃない? プロデューサーの仕事はそんなものよ」
「えっ、わたしってプロデューサーなの?」
「彼らをマネジメントするんだから、業界用語で言えばそうなるわね」
そうか、わたしってプロデューサーなんだ……! 夢園くんたちになにをさせるべきかを、考える仕事をしてるんだ! その言い方だとなんかカッコいい!
ゼロな状態の夢園くんたちと、百パーセント輝いてるホルプリを比べると……圧倒的に、足りないもののほうが多い。そんなことわかってるけど……まずは何をすればいいのかを、先に考えないといけないんだ。
体力づくり? でも、夢園くんと花城くんはサッカー部だから、一応あるほうなんだよね……沙月くんは部活に入ってないし、体力づくりが特に必要なのは、彼かも。
歌唱力はどうだろう。音楽の授業で一人で歌うってことないから、実力がわからない……けど、花城くんがリコーダーを吹くとき、花城くんファンだけでなく、クラスみんながうっとりしたって伝説を作った……って、ウワサを聞いたことがあるような。ホントかどうかはわからないけど、もしホントだったら、それほど音楽のセンスがあるんだよね……花城くんならありえそう。
えーと、あとは、トーク力……って、いるのかな? 学校祭で披露するだけだし、バラエティに出るわけじゃないからいらないかな。それに、夢園くんは友達が多いしきっと話をするのがうまいかも。あのまぶしい笑顔は、すでに人を惹きつけていたのかも……!
最後に……カリスマ性……う~ん、どうやってつけるものなんだろう。
これは、プロに聞いたほうが一番いいよね。夢園くんのお兄さん、どんな人か知らないけど本物のアイドルらしいし。
……よーっし、やることが見えてきた。自信がないとしても、できることはやろう!
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