第50話

「おおう、なんとも、言い難い、ワクワクするチームだな!なあ、八木先生。」

「そうですね、まったく。」


「うっわ〜、あっちえげつないな。ガードみんな相手チームやん。」

「梅ちゃんだっけ?って事はこっちのチームにはガードがいないってことだ。司令塔がいないチームってことだ。君ならどうする?」

「小木さん、どうって・・・せやなあ、フォワードとセンターしかおらん・・・

保守的なチームってことすか?」

「いやぁ、難しい戦略的プレイはうまくいかないかもしれないってこと。」

「ばらばらになりかねないからね。」

「全員で守ってせめる、それしかない!」

((単純だ!!))

「え、それって大丈夫なんですか!?」

「ハルヒ、考えてみろよ。俺たち大学チームのガードさんもあっちなんだ。

もうこれは実力行使しかねえ!」

「じつりょくこうし?」

「そっか、四字熟語まだわかんない?」

「おばかな小木の冗談はさておきだね。センターは、小木、俺、ハルヒ、枇杷島、フォワードは梅田、前田。」

「すげえ、見事にあっちセンター不在だ。」

「ガードはいないけど、」

「向こうはゴール下がいない。」

「そう、有利かもしれないよ。」



「って言う話をおそらくあっちはしてると思うんだ。」

「黒田さん、僕もそう思います。」

「そうだね。白木と後藤は本来フォワードだけど、身長は全然張り合える。」

「おう、任せとけ。」

「黒田さん、俺はそのままフォワードでいいんすか。」

「ああ、小牧頼むよ。それで、もう1人は・・・」

「俺がやります。」

「え、ジョーくん!?僕ベンチ行くから、黒田さんと2人で・・・」

「何勝手言ってるの。ベンチは黒田さんでしょ、ね。」

「え、ああ、まあそのつもりだったんだけど。はは、こりゃ一本とられたな。」

「ほ〜う、ジョーちゃんフォワードもできるってか、こりゃすごい、オールラウンダーですか。」

「津島やれるか?」


梅田先輩がいない、チーム。

どうやって運べるか。

すごく不安だ。

センターがいない、チーム。

でも新しい何か見つけられるかもしれない。

今後、ずっと梅田先輩がいるとは限らない。

その場で対応できるようにならなきゃ。

「黒田さん、僕やってみます。どうすればいいですか。」

「最初の流れは津島とジョーでボール運んで小牧か白木に回せ。どんどん先攻でいくぞ。」

「おす。」

「津島、大丈夫だ。俺これでもエースだぜ。だから、津島は津島が考えたゲームを俺たちでプレーするから。」

「津島、今日初めて会った俺たちを信用しろって難しいと思うけど、バスケってチームプレーだろ。仲間を信用してなんぼだ。自分でどうにかしようっていうよりも、ガードはまずコートにいる仲間を一番に信用しなきゃいけないんだ。そっからだ。な。」

「はい・・・」

久しぶりのこんな不安。

梅田先輩と出会うまえににてる。

今は違う。

今は、梅田先輩がいてくれるから、

から・・・

「信用か・・・」

「大丈夫、津島ならやれるよ。」

僕もそう思う。

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