第17話

「どんな風の吹き回しだ?」


放課後、部活が始まる前に、掃除の時間がある。

その時間に、クラスが違う枇杷島と渡り廊下で待ち合わせして

職員室にいる顧問の八木先生に会いに行った。


「選抜合宿、2人で参加させてくれませんか?」

「なあ、八木っち、もう遅い?」


そうだなぁ、とスケジュール表みがら八木先生は言った。


「何が問題ですか?」

「冬季休暇中だから顧問の同行が必要なんだ。」


「そっか、未成年っすもんね。」

「なにがそっか、だよ。お前ら最初は興味なかったくせによ。」

「へへ、ごめんって。ほら、夏が終わって、こう思うことがあったんだって。」


ったく、といいながらスケジュール帳にあった帰省という文字を赤で横線をうえからひいて

合宿と書き直してくれていた。


「一応の仮は不参加で話してるから、確認次第だぞ。

だがまあ1、2人増えるのはなんて事ないから心配するな。


なんだ、、、どっちだ?」


どういうことが?っていう顔をした枇杷島をみて、八木先生は俺をみた。

じっと真剣にみられて、そっと口を開こうとした。


そのときだった。


「俺ですよ、ジョーともっと強くなって、誰にも負けないペアなりたいって思ったんすよ。」


枇杷島がいった。

「誰にも負けないってなんだ、チームだろう。お前らだけでプレーしてるんじゃないぞ。」

「違うんですよ!なんていうーか、、、最強?」


は?と口が開きかけてたけど、

八木先生がおれをみた。


「で、お前は?」

「俺は・・・」


俺は、

どうだろう。

誰にも負けない、とはちょっと違うかもな。

「こいつとずっとプレーし続けたいって思ったから、そのために強くなりたい。」


プレーし続けるには、諦めないように、強くならなきゃならない。

ずっとこいつとバスケをするには、

俺もお前も強くならなきゃ

プレーし続けることは難しい。


現代の俺たちみたいになっちゃだめだ。


「・・・なるほど。ま、中学の合宿はそんなきつくはないが、

まだ1年だからな、長い目で参加しろよ。やるなら、とことんだ。俺が見れるうちは面倒見てやる。」

「まじっすか!いいんですか!」

「どこまで本気か分からないけどな。最初に声かけたのは俺だし、お前らのプレー好きだしな。伸びしろしかねえよ。」

「やった!八木っちさすが!」

「お前本当に生意気だな。最近ジョーの方が大人しくなったと思えば。」


ほら、と携帯番号がかかれた紙を渡された。


「お前ら、携帯もってるか?合宿前にもいろいろ準備があるからな。どっか休みに部活のあと時間あけとけよ。」


俺たちの

新しい道がはじまった。

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