Epilogue

 全ての過去と蹴りを付け終わった私は、あの後きちんと家に帰り母に謝った。

 母は「さすがに謎の機械をつかって私を気絶させてまで出ていくとは思わなかった」と笑っていたが、銃を突きつけてきた母も母だと思うので私は聞き流すことにしたし、実のところあまり反省はしていない。


「わー!たすけておねーちゃん!」


「っと。

 落ち着いてきたから日記でもつけようと思ったらこれだ。休む暇がねーよ」


 足元に戯れついてくる小さな陰茎たちから逃げるように私の元へきた少女を肩車すると私は小さな陰茎たちに野菜の皮とパンくずを投げた。

 小さな陰茎たちはそれに群がるとピーピーと鳥のような鳴き声を上げてそれに群がる。

 こいつらは巨大陰茎の幼体ではなく、このサイズで成体のようだった。

 真羅を倒した場所から発生したそれは、元対巨大陰茎掃討作戦本部が研究し検査した結果、カウパーに人を害する能力もなく、大きくなる様子もないことから駆除をしないで放っておこうという決断を下された。

 最近では小さな陰茎たちを「ちんちん」と呼んで愛玩動物として飼育している人も増えてきているらしい。


 あれからツインゴールデンボウルはうんともすんとも言わなくなった。

 私の胸にあった4本の線とその中心に点のある痣は日に日に薄くなっている。


 超巨大陰茎が真っ黒な塵になって消えてしまってから、各世界に存在していた巨大陰茎たちは姿を消した。

 私達はかつての覇者から世界を取り戻したのだ。実感はまだないけれど。



「またすぐに目覚めるよなツイン…」


 少女を下ろして見送ってから、集落の一角に鎮座しているツインゴールデンボウルの肩に登って彼女の頭を叩くと、ジジジという音と共に彼女の項垂れていた首が前を向く。


『おはよう海夏弥わたし

 寝すぎていたようだ。あれから何が起きたか教えてくれ』


「わかったよ相棒わたし

 色々あったんだ。しっかり聞けよな」


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奏笛の鈴口 こむらさき @violetsnake206

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