不死者の明日は小鳥の幸福

楠木黒猫きな粉

幸福な不幸と夢と明日

夢を見るんだ。いつかあった事を朧げに思い出すんだよ。楽しかった、だとか悲しかったとかそんな感想を乗せながらね。

まぁ、400年も生きていればいろいろあるもんでさ。簡単な例を一つ挙げるなら死に別れ。大事な人達との一方的なお別れ。これは何回繰り返しても慣れないよ。

けど、泣くわけにもいかないんだ。私を残して逝ってしまう人達は笑っててくれって頼むんだ。残酷だよね。だから一人になろうとしたのにさ、なんで寂しいんだろうね。

分かったもんじゃないけどさ、せめて笑ってやりたいけどさ、寂しいんだよ。哀しいんだよ。怖いんだよ。いつか君が死ぬ日が来たって私は生きてるけどさ。飽きるほど見て来たけど後悔は辞められないんだよ。なんで泣いちゃうかなぁって、いっつも思ってるのに何度でも何回も繰り返すんだよ。馬鹿だよね。私は不器用だからさ、泣きながら笑っちゃうんだ。笑って見送ってあげたいな。そんな事を思いながら過ごしてるのに最後の最後で失敗しちゃう。分かったもんじゃないな、分かってたまるものか。

って誰かが言ってたけどまぁそうだよね。分かっちゃダメなんだよ、知っちゃダメなんだろうね。こんな気持ち。

痛くなんてないよ、辛くなんかないよ、でも例えるなら無くなってるんだよ。私の中から。温かさも優しさも記憶も思いもぜーんぶどこかに消えちゃうみたいな。そんな感じ。悲しいね。うん、悲しいよ。けど君も、いつか夢を見るんだ。ながーいながーい世界が回ってしまいそうな程の夢。

多分私はそれが見えないと思うんだ。だから私に教えてよ。いつか君が夢から覚めて、思い出した時でいいからさ。

約束?……うん、これは約束。

君が夢から覚めるまで私も待ってるからさ。楽しいお話聞かせてよ。君のお話を。

私が知らない夢の話。そしたらまた一緒に笑おう。この場所で日向ぼっこでもしながらさ、ただ笑って喋ろうよ。

……眠くなって来ちゃったのかな。いいよ、寝ても。私は待ってるからさ、この手を思い出して待ってるよ。

うん、安心したかな。…ならよかった。

それじゃあ


———おやすみなさい、小鳥さん。いい夢を。

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