第4話 ピンチ




先程正面から入った寮だったが、今度は裏口に出てみることにした。寮の一階は食堂とコンビニ、宅配サービスとクリーニングが完備されていてまさに至れり尽くせりだと思った。


裏口を出ればスーパー、美容室、服屋、本屋、カラオケなどの娯楽施設…あと何故か脱毛エステがあった。


生徒のニーズに合わせてって事らしいが、男子校に脱毛エステが果たして必要なのだろうか?


寮一階は早朝から深夜まで、寮の外の店は平日は夕方から夜の9時まで、休日は朝9時から夜10時まで営業しているらしいから、自炊派の俺は食材の買い出しの時間は気をつけなくてはいけないな。


寮を見た後だととても質素に見えるが、一般的な一人暮らしするには十分なアパートが並んでいて、通いではない従業員や一般教師の住まいということがわかる。

教師でも実家に力のあるこの学園のOBなんかは俺たちと同じ豪華な寮の方で暮らしているらしい。


正面からは出て行きにくいが裏口からは外に出られそうだな、まぁ町に降りるには車などが必須になるから高校生には無理な話かもしれないけど。



今日は食堂を使ってみたいから、スーパーの買い物は明日でもいいだろう…同室者にも自炊していいか聞かないといけないし、いまはまだ春休み真っ只中なのだ。

のんびり探査していこうではないか。



広い敷地をふらふら歩いていると、2人の男が現れた。


運動部だろうか?


今のところまだ生徒は少ないので少し安心したぞ、部活がある生徒は春休みも早めに切り上げなくてはいけないのか…

俺は前世から運動運痴だから絶対入らないけど。


「あれ?新入生?」


「はい、外部入学しました」


「へぇーじゃあ頭いいんだね、それに中々可愛いし」


「?はぁ…」


「あれ?この学校のこと知らない?」


「いや、同性愛の方が多くいるとは聞いてますけど」


「ぁあー、なるほどねぇ」


先輩と思われる2人は急に嫌な笑みを浮かべると逃すまいと手首を掴み引き寄せた。

顔が近い、なぜ俺は初対面の男のドアップを拝まなければいけないのか…しかも部活後だろうか、汗臭い…最悪だ。


「ちょ、離してくださ…」


「まぁ、同性愛がほとんどってーのも間違いではないけどな」


もう1人の男が後ろに回り羽交い締めにされ、身動きがとれず、もがいてもさらにきつく締められるだけでビクともしない。

はるかに体格のいい運動部2人になんて敵うはずもないのはわかっているが、マズイぞこれは…


「どっちかっつーと、君みたいに可愛い子だったらオンナにして溜まったもん発散出来る奴がほとんどって言うほうが当てはまるかな」


「なっ!俺の意思は⁈」


後ろの男がするりとTシャツの中に手を忍ばせ、這うように撫でられると一気に鳥肌が立った。

前にいる男が楓の顎を掴みキスしようとしてきたので、ガチンと歯をならして噛み付く意思を見せると無理やり口をこじあけて指を突っこみ口内を弄りニヤりと下品な笑みを浮かべた。


「おっと、噛み付くなよ。気持ちよくしてやっから」


「ん、ふぁ…ん」


怖い怖い怖い怖い、このままだと確実にやられる…

力では敵わなくて、悔しくて、苦しくて、涙目になりながらも相手を睨みつけた。


後ろから伸びる手は愛撫を止めることなくいやらしい手つきで胸の方へと伸びていった。


「ふぐ…んぁっ」


胸の突起を掠めるとビクっと身体を震わせた。


「あれー?おっぱい感じるの?もしかして初めてじゃない?」


「可愛い顔で睨みつけても身体は正直だな」


「うー、ぐぅ」


違うと主張するように首を横に振り抵抗する。

馬鹿を言うな、楓はまごう事なき処女だ。

ただ、前世は普通のOLで、滅茶滅茶経験値高い訳ではないがそれなりに付き合った人もいるわけで、記憶が知っているのだ。

胸も性感帯の1つであると言う事を。

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【BL】転生したら婚約者の弟だった 渡辺 @watawata0109

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