第14話

 エルフの森の入口に、タカシ、長老、アリシア、そしてベヒモスが集っていた。


アリシアは魔法使いらしく白いローブを羽織っていて、片手にはグネグネと先端が丸まった樹木で出来た杖を握っていた。背中には皮の袋を背負っている。腰にも小さな皮の袋をぶら下げていた。長老もアリシアと似たような装備だが杖だけが少し違う。樹木で構成されているのは変わらないのだが、先端に紅い魔法石がついている。


タカシも少し装備を一新した。ジーパンは変わらず使えそうなのでそのまま併用することにした。上はひどく破損したので長老に白いTシャツの様な服を何着かもらったのでそれを着て、その上から茶色の皮のベストを着て、ブーツを履き少し冒険者らしい服装になった。左腕のフレアで構成された義手も目立つので手甲でカモフラージュして目立たないようになった。しかし必殺〝ロケットン汁〟は日に五度がいいところだ。それ以上使うと腕としての形をフレアが維持できなくなるので気を付けなくてはいけない。おまけにベヒモスを連れて帰ったとたん皆かしこまって対応してくるので何ともエルフの里の居心地が悪かったのではやく出発したいと思っていたタカシであった。ふと出発を前に自身のパーティーを見る。




「……今のところ絶対負けなさそうなパーティーなんだけど」




「どうぞよろしくお願いしますッ!」




「うむ。ワシがいるからね。余裕のよっちゃんやね」




「ガァァァァァァァァァァアァァァッァァァアアッ!!」




といった感じに最強のパーティーである。アリシアはエルフらしく魔法使いである。首元のペンダントで自分以外のパーティーステータスを見る。皆のステータスはざっくりこんな感じである。




アリシア 十七歳(処女) メス


レベル 7レベル


職業  魔法使い(エルフっぽい)


スキル フレア


    ゴーレム生成




とこんな感じである。ちなみに長老はというと……。




長老  五百九十九歳 オスかな


レベル 100から先は覚えてない。    


職業  げーむますたー(チートキャラ)


スキル 百から先は覚えてない。




圧倒的に強い。もはや長老を旅に連れていきたいくらいである。最後にベヒモスはというと……。




ベヒモス 推定五十歳 メス


レベル  30レベル


職業   モンスター


スキル  暴れる


     咆哮。




このパーティーに怖いものなどない。余裕で森を抜けられそうだ。




「……もう何も怖くない」




「なにかいいましたか?」




「あ、いやこれなら森を抜けるのは余裕かなって。ハハハッ……」




タカシのその言葉にアリシアは僅かに不安そうな表情を浮かべた。




「いえ、この森を抜けるにはこの森の奥に住まう5人の刺客を倒さなければ抜けられないと聞いた事がありまして、少し不安です」




「そうなの?でも長老いるし、説得できるのでは?」




「いえ……長老の支配下の者たちではないが故里から追放され、それ以来森の最深部に住まう輩が我々里の者が森から出ようとするたびに襲ってくるそうです。里のエルフが外に行ったっきり戻ってこないという事が何度かあったようなので、警戒しとくに越したことはないでしょう。」




「そうなのか。てかそれだけ聞くと長老が独裁者に聞こえるけどまぁいいや……気をつけるよ」




「さて行くかの」




「ガァァァァァァァァァァアァァァッァァァアッ!!」




「お前、返事のたびに雄叫びあげるな。耳がほんと、やばいから」




という感じで一行は里の住民に見送られながら〝エルフの森〟へと足を踏み入れるのであった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る