日記 その2

八月二十六日 晴れ

今日は花火大会でした。息吹と2人で行きました。

自分が

「お前高校二年にもなって男と花火でいいのかよぉ!?」

と聞くと

「オメェもなっ!!」

短く返されましたが、お互い大笑いでした。

花火がとても綺麗でした。屋台もあったのですが、花火を見るのに夢中で何も買わなかったです。

来年は二人とも女子と行けるように頑張ります。でもまた2人で行きたくないわけではないです。

明日は隣の町のライブハウスで高校生のライブがあるので楽しみです。軽音部が他校と接触できる数少ない機会なので、ばっちりおしゃれして行こうと思います。


八/27 はれ

日野にあった。やばい、まじでやばい。夢みたいだ、また会えた。まじ、いた。まじでいた。まじでやばい、やばい。最高だ、まじでやばい。ライブに日野がいた、 最高すぎる、まじかよしぬやばいまじ 日野に あった、ライブ行ってよかった。本当に夢みたいだ。すごい、すごすぎかよ、これはわやばい信じられないやばい、やばい、やばい、やばい、本当にやばい、やばい。やばい、やばい。やばい、やばい、やばいやばい、まじでやばい、やばいやばすぎ、やばい、やばい………


九月二十日 雨のち晴れ

今日は土曜授業のあと部室でベースを練習しました。部室には一人の後輩しかいませんでした。休憩にその後輩の近くでボーッとしている時でした。ふと、二人とも姉妹がいないことに気づきました。

「なぁ、妹欲しくね?」

気付いたらボーッとしながらこんな質問をしていました。今思うとかなり頭の悪い質問だったと思います。

「……」

頭の悪い質問だと思いますが、先輩の質問を無視する程ではないと思います。

「姉欲しくね?」

空っぽになった頭の中にはメンタルというものは無く、次の質問をしました。

「………ただの女好きじゃないすか…」

ボソッと言われた質問の答えではない一言で目が覚めました。


十月三日 晴れ

今日は文化祭でした。二の三はクレープを作りました。途中、ボウルを落としてしまってみんなに迷惑をかけてしまいました。でも、みんなはカップルでイチャイチャして僕に精神的に迷惑かけていたのでおあいこだと思います。むしろ僕はあいつらにボウル投げていても許されていたと思います。

打ち上げは何となく行かなかったのですが、今頃あいつらはまたイチャついているのかと思うと行かなくて良かったと思います。


十二月十二日 雪

今日は雪が降りました。あまり水っ気の無いサラサラした雪でした。美味しそうに見えてきたので食べることにしました。

シロップが無かったのでチョコソースをかけました。かき氷というより冷やされたチョコソースであまり美味しくなかったです。次に砂糖をかけて食べました。しっかりとかき氷を食べている感覚があって美味しかったです。

昼頃に二階の窓から近所の小学生が雪合戦をしているのが見えました。屋根に積もった雪をこっそり上から当てるのがとても楽しかったです。

でもSNSを見るとみんな友達と雪を満喫したみたいで、かなり虚しかったです。中には公園の坂でスノボーしている輩もいました。間違っても「小学生と雪合戦なう」とか載せれないです。





十二月十日

今日も日野は来ない。いつから来る?いつまで待てば良い?僕は今、日野に会うために学校に行っている。死にそうだ。クラスには本当にクソしかいない。地獄でしか無い。本当に嫌だ。でも日野に会えれば苦しみはなくなる。学校に行くのが楽しくなる。早く日野が来る日が来て欲しい。本当に。





二月十四日 曇り

今日は事件が起きました。大事件です。なんと下駄箱にチョコが入っていました。板チョコに蝶結びのリボンが付いている簡単なものでしたが、その神々しき華やかさは持っただけで背中に翼が生えそうでした。

中学生くらいからバレンタインはサンタと同じ類いのファンタジーの世界のものかと思ってました。なので頭の中では「嬉しい」より「驚き」が余裕で勝っていました。

でも全く心当たりが無いので、恐らく送り主がチョコを入れるところを間違えたのだと思います。チョコに名前はおろかメッセージすら書かれていないので確認のしようがないが無いのですが、うちの下駄箱には一人一人に名前が付けられていないので間違えやすいと思います。

でも、否定しつつも自分宛だったらいいな、と密かに思っています。


二月二十八日 晴れのち曇り

今日は三年生を送る会がありました。

最後の三年生代表の生徒会長の言葉が胸に響きました。

「今日は楽しい一日をありがとうございました。こんな台詞が言えるということは一日を消費してしまったということです。あと一時間もしないうちに帰りのHRが終わり、みんな帰路につきます。そうなると今日はもうみんなの顔を見ることはありません。

これをあと何回かしか繰り返えせません。

学校、みんな、後輩、先生方、これらを時間と引き換えれるのはあと何回かしかありません。

だからこそなけなしの時間を大切に全力で使い、『あと何回かしか』が無くなった時に笑顔でさよならできるようにします。

在校生のみなさん、先生方、改めて今日はありがとうございました。」

もはや卒業式でいいと思いました。

約五百人の三年生全員泣いていたと言っても過言ではないと思います。そのくらい泣き声があちこちから聞こえてきました。僕も三年生だったら絶対泣いていました。

先輩たちがあと数日でいなくなると思うと本当に胸が張り裂けそうです。



三月二十日 晴れ

今日は終業式でした。

今思うとずっと夢を見ているような、悪夢を追っているような感じでした。

たった二年間でも色々ありすぎて、書くことはいっぱいあるはずなのに何を書けばいいか分かりません。

とりあえずこれから今まで以上に親に迷惑かけることになるので、感謝の言葉を言いに行こうと思います。





三月二十二日

今日も日野は来ない。いや、もうこれからずっと来ない。

終業式の今日、日野の転校の連絡があった。

俺は入学からずっと、一年間ずっと待っていた。

誰も悲しんでいなかった。誰のことかわからないやつもいた。


それが本当に辛かった。

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