第19話 小清水健一!

小清水健一こしみずけんいちに会いにいけ……か。

僕は小清水健一に電話した……。


電話 橘権太たちばなごんた

『もしもし 権太だけど健一か? 』

電話 小清水健一

『もしもし 権太か? どうしたんだ?』

電話 橘権太

『大事な話がある。会えないか?』

電話 小清水健一

『わかったよ! 迎えに行くから今からうちに来い』

電話 橘権太

『駅で待ってる』


僕は駅で待っていると、30分ぐらいでキャンプに行くような軽自動車で迎えに来た。

「お待たせ! 乗れよ」

健一がドアを開けてくれて僕は助手席に乗った。権蔵は後ろの狭い席に座る。

その時、健一は権蔵が乗り終わったタイミングでドアを閉めた。


~しばらくして~

健一の住んでるマンションに着いた。

なかなかいい所に住んでるな。僕のアパートとは大違いだ。

健一は部屋の鍵を開けドアも開けてくれた。

その時も権蔵が入りきるまで開けていた。

もしかして、健一にも権蔵が見えているのか?

権蔵は健一の願いは叶えていないと言ったはず……

しかし……健一に権蔵が見えてたとしたらもっと驚くはず……


「あっ本棚は見るなよ」

健一はそう言って、お茶をひとつ出してくれた。

権蔵が見えていたらふたつ出すよな……気のせいかな

「それで大事な話って? 」

「実は……」

僕は健一に蔵子さんが脅されていたことや今猿さんが事故にあったことなどを説明した。はこべさんの話はしてない。


「なるほどな。心当たりか……みんな男子は蔵子さんを狙ってたからありすぎるな」

健一は困って考えこんでいた。うーん。僕は健一が1番役に立つ人物とは思えないんだけどな。


「そうか……健一は蔵子さんのことどう思ってたんだ? 」

僕はお茶をすすってから言った。


「別に。ただの同級生だと思ったよ」

蔵子さんに好意を抱かないなんて男じゃないだろ……

いや人間じゃないだろ……そこまで言うと悪いか。


「『覗くな』と言われると、見たくなるんじゃ」

権蔵は健一が『見るな』って言った本棚を見ていた。


「こら! 見るなって言っただろ! 」

権蔵が本棚を見ると健一が慌てだす。


「健一……もしかして見えてるのか?」

「ああ、柊愛長だろ?」

柊愛長ひいらぎつぐなが? なんで見ただけで分かるんだ?


「こ、この本は……人魂ひとたま様?」

権蔵は『神』と書かれた本を見つけた。

そういえば、健一の両親を見たことない。


「もしかして……健一……転生神てんせいしん人魂様なんですか? 」

今までのことを推理すると……そうとしか思えない。


「ははは。バレてしまったら仕方ないな。わしが転生神人魂だ。今は人間界にバカンスに来ておる」

ほ、ほんとに転生神人魂様だったのか……?


僕は神様と友達だったのか……

「何故この世界に来たんですか? 」

「くじを引いたらここが当たったのだ」

そんな軽いノリで来たのか……


「人魂様のお力で犯人を見つけられませんか? 」

神様ならすぐわかるはず……


「すまないが今はバカンス中で力は封じてある。余程のことがないと解放できん」

「そうですか……」

僕はがっくりとした。そんな簡単には行かないよな。


「本当に困った時だけ助けに行くぞ」

健一人魂様は微笑んだ。


「ありがとう……ございます」

僕は頭を深々と下げた。


「ひとつ教えておこう。同級生に青柳翔あおやなぎしょうっていただろ? 」

「あの高校時代モテモテだった人ですか? 」


「ああ、あやつも異世界から転生してきた」

健一人魂様が語りだした。


~回想~

ワシは転魂部屋にひとりの男を呼び寄せた。

そやつの名は『岸田吾郎きしだごろう』40歳 独身。

特に才能もなく貧乏で正直言って顔は不細工だ。

わしが降臨すると驚いておった。

「なんだ! 」

「岸田吾郎だな? 」

岸田吾郎はワシの姿を見るとさらに驚いていた。


「確かに岸田吾郎だけどあなたは? 」

岸田吾郎もすごく警戒していた。


「私は転生神人魂だ。」

ワシはいつものお決まりのセリフを言った。


「神様? 俺は死んでしまったのですか?ここはどこですか? 」


「さよう。おまえは子犬を助けようとしてトラックにひかれて死んだのだ。ここは天国でも地獄でもない選ばれし者だけが来ることが出来る転魂てんたま部屋である」

岸田吾郎の顔はまだワシを信用してないようだ。


「信用していないようだな」

ワシが宙に浮きながら言った。


「どっきりか何かだと思って」

「ワシに願いをひとつ言ってみろ」

岸田吾郎は考え込んでいる。


「俺をイケメンにしてください」

するとワシは岸田吾郎を超絶イケメンの顔にした。そして煙と同時に、手鏡を出した。


「す、すごい……! やはり、さすが神様ですね」

手鏡で自分の顔を見た岸田吾郎は驚いていた。


「やっと信用したようだな。本題に入ろう。岸田吾郎。おまえは選ばれたのだ」

ワシは淡々と岸田吾郎に告げた。


「岸田吾郎。君が自己犠牲してまで子犬を助けた行為は、我々を感動させてくれた。よって、転生先、能力、願いを選択する権利を与える。希望はあるか? 」

ワシは宙に浮きながら言った。


「僕は異世界に言ってお金持ちになって女の子からモテモテになってハーレム状態になりたいです! そのための能力をください」

岸田吾郎はそう叫ぶとワシは、しばらく考えた。


「なかなかはっきり言うやつだな。気に入った! 岸田吾郎には何も能力を与えぬ! 」

岸田吾郎は驚いている。


「な、なぜですか? 」


「まあ最後まで聞け! 転生しても今の記憶と運動能力と顔はイケメンそのままにしておく。これから行く異世界は岸田吾郎がいた世界より文明が遅れており、体力もない。自分が今持っているものをどう生かすかでモテモテハーレムも可能だろう」


「ありがとうございます」

やっと岸田吾郎は理解したようだ。


「転生してもらう西暦は1988年だ。」

ワシが緑色に光りだす。


「いでよ!異時間の書コンカーツよ!」

ワシは異時間の書コンカーツを出した。


「岸田吾郎の記憶を残しておく!青柳翔として生まれ変わるのだ…!」

ワシが眩しく光った。


ちなみにワシの状態は、本が開いた状態じゃ。



「異時間の書コンカーツの1988ページを開け」

岸田吾郎は、そのページを開いた。

すると、光に包まれ岸田吾郎は消えた。


〜回想終わり〜

「その知識と運動能力を活かして今は大金持ちだ」


青柳くんも権蔵と同じく異世界から来た人だったのか……。


「青柳くんの頭頂部が薄いのは……」


「髪の毛にはワシは干渉していない。自然の摂理だ」

異世界から来てもそれは逆らえないのか……


「わしが青柳に会えるように連絡しておく。今回のことは大きな力が働いているようだ」

同級生に神様はいるし、異世界転生者もいる。


普通のこの僕はどうやって立ち向かえばいいのだろう。

「ワシがおるやないか! 」

権蔵……僕の心を読んだのか?


僕には最強守護霊がいてるんだったな。

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